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元西武・秋山翔吾が欲しがった“データ”――球界屈指の安打製造機は独特の感性を持った選手だった

野球界における参謀の存在意義 “名将の思考”と“今の時代に求められる指導者像”を記した橋上秀樹氏最新刊『常勝チームを作る、最強ミーティング』から原辰徳さんとのエピソードを第4章「戦略が必要な選手、必要のない選手の違いとは」から一部抜粋で公開です。

2020/05/18

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普段から選手の「重点」を意識して見ること

 実際、私に聞いてくる内容も球種や配球ではなかった。バッターボックス内でのボールの見方や構えたときのグリップの位置はどうなっているか、他のバッターからは、ほぼ聞かれない質問が多かった。私としても彼の領域を侵害しないように、慎重な答え方をするしかなかった。
 
 こう言うと、秋山は気難しい人間なんじゃないかと思う人もいるかもしれないが、そんなことはない。どんな人にも気さくに、分け隔てなく接することができる、誰からも好かれる青年だ。
 
 一方で、いざユニフォームを着ると自分の技術に対するこだわりは、どの選手よりも強い。2015年に日本のプロ野球でシーズン最多の216安打という成績をマークし、日本の9年間で平均打率3割1厘という数字を残したのだから、自分の技術に相当の自信があるのは間違いない。

 秋山のような高い技術を持った選手には、必要だと思う情報を選んでもらって、聞かれたときだけ答えるというスタイルがベターである。万が一、質問を受けた際には、即答できるように自分の中で答えを用意しておく。そのためにも、「どこに重点を置いてバッティング練習を行っているのか」、普段からしっかりと見ていることが大切だ。
 
 
橋上秀樹(はしがみ・ひでき)
1965年、千葉県船橋市出身。安田学園から1983年ドラフト3位でヤクルトに捕手として入団。野村克也氏がヤクルトに就任して以降は、外野手として一軍に定着。92年、93年、95年のヤクルトのセ・リーグ優勝に貢献した。その後、97年に日本ハム、2000年に阪神と渡り歩きこの年限りで引退。2005年に新設された東北楽天の二軍守備走塁コーチに就任し、シーズン途中からは一軍外野守備コーチに昇格。07年から3年間、野村克也監督の下でヘッドコーチを務めた。2011年にはBCリーグの新潟の監督に就任。チーム初となるチャンピオンシリーズに導いたものの、この年限りで退団。12年から巨人の一軍戦略コーチに就任。巨人の3連覇に貢献した。また、13年3月に開催された第3回WBCでは戦略コーチを務めた。巨人退団後は15年から楽天の一軍ヘッドコーチ、16年からは西武の一軍野手総合コーチ、一軍作戦コーチを務め、18年の西武のパ・リーグ優勝に大きく貢献した。19年は現役を過ごしたヤクルトの二軍野手総合コーチを務めた。2020年より新潟の総合コーチを務める。10年に出版した著書『野村の「監督ミーティング」』(日本文芸社)は、12万部を超えるヒット作となった。
 
 

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