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野村克也監督が信頼する人物とは? 参謀に求めてきた、膨大な『データ』

野球界における参謀の存在意義 “名将の思考”と“今の時代に求められる指導者像”を記した橋上秀樹氏最新刊『常勝チームを作る、最強ミーティング』から第2章「3人の常勝監督が求めた参謀」を発売に先駆けて公開です。

2020/05/07

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野村監督が信頼する人物とは?

「そんなに収集していたら、データがますます複雑になっていくんじゃないのか?」
 
そう疑問に思う人もいるかもしれないが、実際は真逆で、データを集めれば集めるほど、答えはシンプルになっていった。
 
 たとえば相手ピッチャーに関する情報を収集し、『カウント別』『イニング別』『状況別』と分類していく。すると、
 
『このカウントになると、変化球が来る』
『試合の前半はストレート中心のピッチングだが、後半になるとストレートと変化球の割合が半々になる』
『ランナーが一塁と二塁にいるときとでは、バッターに対する攻め方が変わってくる』
 
というように、データが増えれば増えたぶんだけ、相手がどう攻めてくるかの傾向がハッキリ見えてくる。だからこそ、野村さんに聞かれたことに対して、明確に進言することができたのだ。
 
野村さんは、質問したことに対して、遠慮なく意見が言える人物を参謀として高く評価していた。反対に、何も言わない、あるいは何も言えない人物は、「何を考えているのかわからん」と、あまり信頼していなかった。
 
現場のトップである監督に意見ができるということは、『データの収集や解析に自信がある証拠』である。だからこそ、自分の意見をハッキリ言える人を、参謀として傍らに置いていたのだ。
 
 このとき私が身につけたデータの収集と解析の仕方が、後に巨人、西武に移籍してから も大いに役に立ったのは言うまでもない。
 
 
橋上秀樹(はしがみ・ひでき)
1965年、千葉県船橋市出身。安田学園から1983年ドラフト3位でヤクルトに捕手として入団。野村克也氏がヤクルトに就任して以降は、外野手として一軍に定着。92年、93年、95年のヤクルトのセ・リーグ優勝に貢献した。その後、97年に日本ハム、2000年に阪神と渡り歩きこの年限りで引退。2005年に新設された東北楽天の二軍守備走塁コーチに就任し、シーズン途中からは一軍外野守備コーチに昇格。07年から3年間、野村克也監督の下でヘッドコーチを務めた。2011年にはBCリーグの新潟の監督に就任。チーム初となるチャンピオンシリーズに導いたものの、この年限りで退団。12年から巨人の一軍戦略コーチに就任。巨人の3連覇に貢献した。また、13年3月に開催された第3回WBCでは戦略コーチを務めた。巨人退団後は15年から楽天の一軍ヘッドコーチ、16年からは西武の一軍野手総合コーチ、一軍作戦コーチを務め、18年の西武のパ・リーグ優勝に大きく貢献した。19年は現役を過ごしたヤクルトの二軍野手総合コーチを務めた。2020年より新潟の総合コーチを務める。10年に出版した著書『野村の「監督ミーティング」』(日本文芸社)は、12万部を超えるヒット作となった。
 
 

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