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小笠原打撃コーチ就任で、清宮幸太郎に「化学変化」は起きるか?【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#113】

開幕前、今季の活躍を期待されていた2年目の清宮幸太郎は、ケガなどもあり十分に活躍できなかった。3年目の来季、同じ右投げ左打ちの小笠原道大ヘッドコーチ兼打撃コーチ就任によってどう打撃が変わるのか注目したい。

2019/10/27

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来季の清宮の変化に期待

 これはファイターズファンにとっては夢の組み合わせだ。清宮ミーツガッツ小笠原! 俗にいう「化学変化」が起きるのではないかと期待してしまう。僕は清宮が本格化するに当たって、誰か師匠の役を果たしてくれる人がいないかなと思っていた。あんな天分を持った打者は簡単にはいじれないのだ。アドバイスひとつするのに覚悟がいる。もし、下手なアドバイスをして壊してしまったら責任の取りようがないからだ。つまり、師匠は強い信念と見識を持った人物でなければならない。
 
 僕は小笠原は適任だと思う。彼のバッティングはロジカルなアプローチを積み重ねたものだ。現役時代の名護キャンプの打撃練習を思い出す。まず逆方向ばかり延々打ち続ける、次にセンター返しをずーっと続ける。最後に引っ張りだ。これも続ける。あれは素人目にも意図を持った練習だった。しかも、毎日テーマが乗っていくのだ。押し込む感覚をそこに加えていく。あるいはバットの抜けがテーマになってる風だったり、あぁ、これは昨日やってたことに何かを足し算してるんだなと想像できた。すごくテーマ立てして考えて、しかも、ここという打席では計算したことをポーンと捨てて、気持ちで勝負できる打者だった。
 
 まぁ、世間的なイメージは「剛の小笠原、柔の清宮」だろう。フォームやなんかをそのまま真似させる必要はない。清宮が小笠原直伝のフルスイングをするわけじゃないのだ。そういうのじゃなく、何か打者として大切なポイントを清宮にそっと授けてくれる気がしている。
 
 ところでそんな期待を感じてるのは僕だけじゃなくて、HBCラジオで評論家の建山義紀さんがこう表現していた。あぁ、なるほどその見方もあるなぁとヒザを打ったのだ。
 
「長距離不足に悩んだファイターズでしょ。で、小笠原さんっていうのは3割、30本残してきたバッターなわけで、そこは適任でしょ。で、右投げ左打ちじゃないですか。僕は右投げ左打ちと左投げ左打ちは違うものだと思ってるんです。やっぱり長距離砲で覚醒したらすごいなとみんなが思ってるのは清宮選手じゃないですか。で、彼って右投げ左打ちじゃないですか。右手ってバットをリードする手で、飛ばすのは後ろの左手なんですよ。でも、右投げだから右手のほうが強いんですね。リードする手が強い。だから、前へ落ちるボールは拾えるけど、飛ばす手の使い方っていうのは難しいと思うんですね、左のほが弱いんで。だから、利き手をどういう風に使うかとか、そういうのは同じ右投げ左打ちの人が教えたほうが何か理に適うんじゃないかなと思ってて。小笠原さんは右投げ左打ち、清宮選手と一緒ですから、こうね、そういうとこの期待感って高まりますよね」
 
 とても面白い指摘だと思う。まぁ、どうなるか来春のお楽しみじゃないか。僕が本稿で申し上げておきたいのは、清宮は生身の人間ですよってことだ。皆さん、それを忘れたら困ります。ケガもするし、悩むし、悪口言われたらガッカリする。だけど生身の人間だから傷をつくりながら悩みながら成長もする。人は人と出会って学ぶんだと思う。きっと来年は飛躍の年になると信じる。
 
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