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どんな試合展開でも最後には絶対見たい、代打の切り札・田中賢介【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#107】

セパともに後半戦、混戦の様相を呈している。オールスター明けのファイターズは好調で首位ホークスとの差を縮めてきた。逆転優勝に期待がかかる中、今季限りで引退する代打の切り札・田中賢介の一打席一打席にもファンは大注目している。

2019/08/04

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代打の切り札の使いどころ

 ところで僕がこの試合で印象に残ったのは9回裏、最後のバッターになった田中賢介だった。近藤、中田凡退で2アウトの後、渡邉諒がセンターへ抜けるヒットを放ち2死1塁。ここでベンチは石井一成を引っ込めて、とっておきの代打・田中賢介を送る。
 
 札幌ドームは大いに盛り上がったのだ。スコアは0対2だから「一発出れば同点」の場面。まぁ、最終回の「一発出れば同点」的な場面はほぼ実を結ばないものであり、ファンも内心、わかっているのだが、代打が田中賢介だとひょっとしてひょっとするんじゃないかと思ってしまう。5月29日のロッテ戦では延長10回、同じ2死1塁から代打逆転ホームランを打っている。
 
 が、願いむなしく賢介の当たりは平凡なファーストゴロだった。ため息のなか、あっさりゲームセット。あぁ、ダメだったかとファンはどこか納得する思いで、明日の第2戦に意識を切り替えたのだった。僕が考えたいのはこの「最後、賢介出したけどダメだったか」の納得感の面白さ。
 
 代打の切り札なのだ。僕は持論としては「賢介は1試合3打席4打席あるなかでこそ真価を発揮する」という立場なんだけど、今のファイターズでNO.1の代打であることに異論なはい。栗山監督も大事に使っている。大事にするあまり、「もっといい場面があるんじゃないか」と思ってるうち使いどころがなくなったりもしている。
 
 使いどころがなくなって、それでも出さなきゃもったいないなー、という感じで出てくるのが「最後の打者」起用だ。いや、起用してる以上、今日でも「最後の打者ではなく、ホームランを打つなどして試合をサヨナラ、または延長戦に導いてほしい」起用がタテマエなんだけど、とにかく盛り上がるのだ。田中賢介は今季かぎりの引退を表明してるから1打席1打席が貴重だ。
 
 こう、眼福というか「尊い」「有難い」感情にかられる。たぶんこの感じはシーズン終盤になるにつれ、更に強まっていくだろう。ソフトバンク追撃の日々、あと何回、田中賢介に納得させられることだろうと笑った。
 
ハマらない「栗山マジック」。もう一度、気持ちをつくり直そう【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#108】
 

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