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2015年度版・栗山巧の打撃スタイルを垣間見た、逆方向へのホームラン【中島大輔 One~この1打席をクローズアップ】

ライオンズのキャプテンが状態を上げてきた。今季2番にすわる栗山巧は4月は思うような打撃ができず、打率も低迷した。周囲は不振ととらえるが、栗山は全く別の捉え方をしていた。そして自分が追い求める理想に“近い”打球がいよいよ出てきた。今回は、5月23日の楽天戦、3回2死走者なしの場面だ。

2015/05/26

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ベースボールチャンネル編集部



打率は急上昇

 だが5月4日の試合前、栗山は「不振とは思っていない」と清々しい表情で話した。

「自分が『こうやりたい』と思ったことは、ほとんど全部できました。その内容をいま言うのは難しいですけどね(笑)。でも、自分が『こうやりたい、こうスイングしたい』と思って、トライすることはできた。ただ、その通りの結果にはできなかった。それが4月です」
 翌日の試合前、もう1度栗山に話を聞きに行った。

「昨日の話の続きになると、何がやりたいことをやれたんやと言ったら、無死1塁のときに打って出る。自分が『この球や』と思ったボールに対しては、打ちにいく。結果が伴わなかったことは何やと言ったら、併殺が多い、と。そこの部分だけやと思うんですよ」

 4月は思うような結果につながらなかったものの、自分のスイングを貫き続けると5月24日時点で打率.254まで上昇していた。そして冒頭の楽天戦で、逆方向への本塁打が飛び出したのだ。
 だが、「理想とする打球に“近い”」ということは、「理想ではない」という意味にも聞こえる。その真意はどこにあるのだろうか?

「あそこまで上がったら、なかなかスタンドまで入らないですから。あのまま低く、2塁打でもいいので。そういうのをフリーバッティングから心がけていることなので。たまたまホームランになったというだけでね、今日は、ほんまに」

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