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昨季はグラシアル獲得の大仕事。ソフトバンクを支える敏腕スカウトの次なる目標とは?【インタビュー】

常勝軍団の福岡ソフトバンクホークス。その強さを支えているのが外国人選手のスカウティングにある。昨年2月には、ユリスベル・グラシアル内野手が入団。少ないチャンスをものにして、数字以上のインパクトを残した。ほかにもスアレス、デスパイネらの獲得に尽力した萩原健太中南米担当スカウトに話を聞いた。(取材・文:高橋康光)

2019/04/12

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「自分の足で動くということが一番大事」

 2018年、グラシアルの獲得は大きな仕事のひとつとなった。「計算できるバックアップ要員としての外国人選手を探していましたが、3Aレベルの選手では控えであることを前提に契約してくれる選手はまずいないので、キューバ人選手でということになりました。グラシアルはこうした状況を飲んでくれました。もちろん、チャンスは必ずあるから準備はしておいてくれと伝えましたし、実際に彼はチャンスをモノにしてくれました。非常に真面目な選手ですし、活躍してくれたのはうれしいです」と萩原スカウトは語ってくれた。
 
 この一年で10回はキューバを訪れているという萩原スカウト。過去の日本球界との交渉ぶりを見ても、その難しさを想像してしまうが、萩原スカウトによればそういうことは一切ないようだ。
 
「キューバ人も決して理不尽な要求をしてくる人たちではありません。ただ、ラテンの国では、日本の常識が通じない点があるのも確かです。例えば、メールで2、3週間先のアポイントを取ろうとしても、そんな先の事はわからない、と言われることもしょっちゅうです。そうかと思えば、直接連盟事務所に足を運ぶと“今日の午後なら時間が取れるよ”なんていう事もよくあるんです。だから、自分の足で動くということが一番大事だと思っています」
 
 北海道日本ハムファイターズの通訳を務めていた萩原スカウトが、一念発起してドミニカ共和国へ拠点を移したのが2007年のこと。
 
「最初は非常に苦労もありましたし、ドミニカ人の生活に密着したことで得たものは非常に多いです。その間には、少年野球の指導も行いました。去年メジャーデビューした、ヤイロ・ムニョス(セントルイス・カージナルス)であったり、フィラデルフィア・フィリーズ傘下でプレーするマヌエル・シルバという将来が楽しみな20歳の左腕といった選手たちの少年時代を間近で見てきたわけです。これは、プロ選手経験のない私にとって、現在のスカウティング活動に大きな影響を与えてくれました」

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