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【プロ野球2018年総括】高橋監督の英断、栗山監督の発見。今オフ補強充実で来季はともに優勝候補<巨人・日本ハム>

2018/12/26

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北海道日本ハムファイターズ

 大谷翔平、増井浩俊といった大きな戦力ダウンがありながらの3位は、開幕前の予想を完全に覆すものだった。
  
 投手では高卒7年目の右腕・上沢直之の奮闘が挙げられる。
  
 昨季、けがから復帰した上沢にはもちろん期待があったが、それはローテーション投手の一人としてのものだったであろう。それが25試合に先発して、チームトップの11勝を挙げた。クオリティスタート(QS)は、同僚マルティネスとともにリーグトップの17回で、防御率も3.16と抜群の安定感を誇った。
 
 5月には、“山賊打線”を看板に打ちまくっていた西武を完封。強力打線を牛耳るピッチングには、エースの風格が漂っていた。2016年の優勝時は大谷のほか、有原航平、高梨裕稔という三枚看板がいたが、期待される投手たちが軒並み不調な中、その穴を補って余りある活躍だったと言えるだろう。
 
 また、リリーバーでは高卒4年目の石川直也にとって飛躍のシーズンになった。増井に変わるクローザーとして期待を受けた石川は、序盤、いくつかの失敗を重ねながら、52試合に登板し、19ホールドポイント(HP)、19セーブ。4年目としては及第点のシーズンだった。
 
 打線の方は西川遥輝、近藤健介といった職人を打線の顔にして、ホームランが打てる大田泰示、中田翔、レアードなど長距離砲もうまく噛み合った。中でも、今季ハマったのが「1番・西川」「2番・大田」のコンビだ。足の速い西川が出塁し、盗塁のプレッシャーを掛けながら、アーチストの大田がフルスイングする。新しい形の1、2番の形成は、後ろへの影響はもちろん、相手にとっても脅威となったはずだ。
 
 「打順の考え方は日々進化していくもの」。そのことばかりを考えているという栗山英樹監督らしい、新しい野球の発見だった。戦力不足が叫ばれたチームが3位を確保した要因といえるだろう。
 
 CSでは1stステージで敗退。だが、その戦いでは、エース格の上沢を当然のように先発させ、昨季トレード移籍してきた杉浦稔大を3戦目の先発に起用。堀瑞輝や横尾俊建、清宮幸太郎ら若い選手を起用するなど、翌年を見据えながらの戦いは見事だった。
 
 シーズンオフの動きも活発だった。
 
 台湾の強打者・王柏融をポスティングにより獲得すると、ヤクルトとの間では、2対2のトレードを成立させた。高梨、太田賢吾を出す代わりに、セットアッパーができる秋吉亮、右の控え内野手として層を厚くするため谷内亮太が加入した。また、オリックスを自由契約になっていた金子千尋(改名して弌大)を獲得した。ドラフトでは甲子園を沸かせた吉田輝星を一本釣り、優勝投手の柿木蓮も指名に成功している。
 
 来季は投打ともに充実した状態でシーズンを迎えるはずだ。
 
 もともと、スカウティングと育成に特化していて、ファームからの突き上げもある日本ハム。年明け早々には来季のドラフト1位を公表するという。オフの話題は完全に制したと言えるだろう。来季は優勝候補の筆頭格になることは間違いない。
 
 
氏原英明

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