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【プロ野球2018年総括】開幕前は優勝候補。最下位に沈んだ2球団はFAでともに大型補強<楽天・阪神>

2018/12/20

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阪神タイガース

 昨季2位からまさかの最下位転落。指揮をとった金本知憲監督がシーズン後に辞任する事態となった。
 
 低迷の原因は、投打ともに、軸を作れなかったことだろう。
 
 2017年度のロッテと実によく似ていて、ラインアップを固定することができなかったことが、チームの不安定さを助長したと言える。
 
 金本監督は就任1年目の際には、「超変革」を掲げて高山俊や原口文仁など若手を積極的に抜擢した。2年目には中谷将大、大山悠輔など、変革はさらに進んだかに見えた。
 
 しかし、成熟期を迎えるはずの今季、競争をあおるばかりで戦力の固定につなげられなかったのは、指揮官の操縦ミスと言えるだろう。
 
 投手陣にしても、藤浪晋太郎を不調から救うことができず、昨季12勝と復活した秋山拓巳もローテから外れた。メッセンジャーに続く投手陣を作り出すことができず、こちらも安定的な戦いをするには無理があった。
 
 その中での光明といえば、ゴールデングラブ賞を獲得した梅野隆太郎が捕手のポジションをつかんだことだ。もともとは、強肩強打で鳴らした選手だったが、守備に課題があるとされ、バッティングにも影響を与えてきた。こうした場合、かつての阪神なら、コンバートをさせてきたものだが、梅野はようやく、攻守両面で存在感を見せるようになったのだ。
 
 西武からFA宣言をした炭谷銀仁朗に手をあげなかったのは、梅野の存在を球団が認めているからに他ならない。もちろん、矢野監督の就任で、坂本誠志郎や原口にもチャンスが生まれるだろうが、捕手層のレベルが上がっていることは間違いないのだ。
 
 来季は投手陣の整備から着手されると思うが、オリックスからFAの西勇輝、中日からガルシアを獲得できたのは大きい。メッセンジャーとの3本柱を形成してくれれば、今季メッセンジャーに次ぐ13クオリティスタート(QS)をマークした岩貞祐太、秋山、藤浪の復活、小野泰己や才木浩人らが競争をしていく過程で、ローテーションは作られていくはずだ。
 
 一方攻撃陣は、高齢化の中軸に取って代わる選手をどう育て上げるかだ。
 
 上本博紀、糸原健斗、ルーキーの近本光司らがチャンスメークして、福留孝介、糸井嘉男らで還していく戦い方を基本線としていくのだろうが、大山や中谷がどう軸を担える選手になるか。今季大ブレイクした巨人の岡本和真のような存在になれば、チームは劇的に変わる。
 
 矢野監督は前任の金本氏とは盟友だった。指揮官が交代したといっても、前任者が目指した超変革をひっくり返すようなことはしないだろう。選手起用や采配面で、色を出していけばいい。元々は昨季2位のチーム。優勝争いができるポテンシャルはあるはずだ。
 
 
氏原英明

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