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DeNAドライチも、ドラフト外戦士の凄さがわかった!? 西武黄金期の礎を築いた松沼兄弟

11月15日にジュンク堂書店池袋本店にて『ドラガイ』出版記念のトークライブが行われた。ゲストとして書籍にも収録されている、松沼博久・雅之兄弟が登場。軽妙な兄弟のトークに、会場は大いに盛り上がった。今回はトークショーの一部を掲載する。

2018/12/07

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ドラフト外制度を知らない

 二人は一度も同じチームでプレーしたことがなかった。一体、どちらがいいピッチャーなのか。それを比べるために雅之は、大学卒業後、兄のいた東京ガスへの入社を決める。    
 ところが――。
 江川卓の〝空白の一日〟を利用した読売ジャイアンツ入りで二人の人生は変わってしまう。二人の入団の経緯については『ドラガイ』を参照して欲しい。
 
田崎 79年シーズンから、二人は〝ドラフト外〟で1年目の西武ライオンズに入団します。根本陸夫監督の元、田淵幸一さん、野村克也さんなどを掻き集めた急造チームという印象でした。今回の取材で、グラウンドが確保されていないなど、本当に継ぎはぎだらけの集団だったことを知りました。
 
博久 根本さんはどこであっても、野球は出来るという考えの人。駐車場でも空き地でもいい。細かいことを言うなっていう人だった。だから自主トレは高輪プリンスの駐車場だったし、国内キャンプの下田では長方形の小さなグラウンドだった。
 
田崎 第2次キャンプはアメリカのフロリダですよね。
 
雅之 それがもの凄く寒かったんです。着いた日は夜中で、モーテルみたいなホテルの部屋は毛布1枚しかない。エアコンみたいなのを捻ってみたけど、クーラーにしかならなかったんですよ(笑い)。
 
博久 荷物も届かなかったよな。
 
雅之 次の日から練習が始まったんですけれど、朝晩はもの凄く冷え込む。その中で根本さんは半袖で、いかにも暖かいっていう表情でカメラに映っているんです。
 
博久 空は青いから、写真や映像だと暖かそうに見えるんです(笑い)。
 
田崎 まさに根本マジック(笑い)。根本さんが土台を築いて、後の西武黄金時代が開けることになります。
 
博久 その第一歩が〝ドラガイ〟での松沼兄弟の獲得だとちゃんと書いておいてね(笑い)
 
雅之 今、母校の東洋大学に教えに行っているんです。彼らはドラフト外っていう制度を知らない。「インチキで入ったんですか」って聞いてくるから、「インチキじゃねぇ」って答えていました。
 
田崎 今年のドラフトで、東洋大学から上茶谷大河投手が横浜DeNAベイスターズから1位、甲斐野央投手が福岡ソフトバンクホークスから1位、梅津晃大投手が中日ドラゴンズから2位指名されましたね。
 
雅之 その上茶谷から連絡があって、「ドラガイ読みました。凄いですね」って。やっと(凄さが)分かったか!って(笑い)。
 

書籍情報

『ドラガイ』
(著者:田崎健太/272ページ/四六判/1700円+税)
 

 
<収録選手>
CASE1 石井琢朗(88年ドラフト外)
CASE2 石毛博史(88年ドラフト外)
CASE3 亀山努 (87年ドラフト外)
CASE4 大野豊 (76年ドラフト外)
CASE5 団野村 (77年ドラフト外)
CASE6 松沼博久・雅之(78年ドラフト外)

 
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『ドラガイ』

 

【著者紹介】
田崎健太 たざき・けんた
1968年3月13日、京都市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学法学部卒業後、小学館に入社。『週刊ポスト』編集部などを経て、1999年末に退社。スポーツを中心に人物ノンフィクションを手掛け、各メディアで幅広く活躍する。著書に『W杯に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇―』(新潮文庫)、『偶然完全 勝新太郎伝』(講談社)、『維新漂流 中田宏は何を見たのか』『真説・佐山サトル タイガーマスクと呼ばれた男』(集英社インターナショナル)、『ザ・キングファーザー』(カンゼン)、『球童 伊良部秀輝伝』(講談社 ミズノスポーツライター賞優秀賞)、『真説・長州力 1951-2015』『真説・佐山サトル タイガーマスクと呼ばれた男』(集英社インターナショナル)『電通とFIFA サッカーに群がる男たち』

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