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ジャイアンツの新助っ人ホアン・フランシスコ、懸念される弱点の多さ 対応は大丈夫?

読売ジャイアンツが新助っ人としてメジャー通算48本塁打の大砲ホアン・フランシスコの獲得を発表した。大きな期待を受けるフランシスコだがメジャー時代の成績を考えれば活躍には疑問符が付く。

2015/04/22

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懸念される弱点の多さ

 最高クラスのパワーを誇る一方で獲得の噂が出た頃から懸念されていたのがその弱点の多さだ。

 まず挙げられるのは非常に三振が多いこと。昨年は300打数以上でワースト2位となる三振率36.3%。通算でも1091打席で375三振、三振率34.3%と非常に高いペースで三振を積み重ねてきた。メジャーリーグにおいて三振率は20%で平均、25%以上は危険水域とされている、フランシスコの三振の多さは悪い意味で規格外だと言えるだろう。
 
 打者のタイプとしてはフリースインガーでボール球スイング率37.8%、コンタクト率69.2%は共にメジャー平均を大きく下回っている。同じ三振が多い打者でも待球型のアダム・ダンやセペダとは異なりガンガン振っていくタイプのため、四球は少ない。通算出塁率.297にもそれが反映されており、パワーのわりに攻撃面の貢献度は低いと言える。
 
 三振が多い理由の一つには、変化球への対応の拙さがあげられる。米データサイト『Brooks Baseball』のデータを見ると特にスライダー、カーブを苦手としていることが目立ち、その2球種に対しては、
スライダー:157打数 81三振 4四球 打率.166
カーブ:137打数 85三振 6四球 打率.139
と惨憺たる結果になっている。特に外国人選手に対して変化球を多投する傾向にある日本野球で活躍するうえではこの2球種への対応は必須となる。
 
 また対左投手への対応も大きな課題の一つだ。対右投手をOPS.786と得意にしている一方で、左投手に対しては打率.159、OPS.432とまったくと言っていいほど打てていない。通算48本塁打のうち左投手から打ったのはわずか1本だけ。MLBでは対右投手用のプラトーン要員として起用されていたが、1億円以上かけた外国人選手をプラトーン起用することは考えづらく、日本では左投手相手に打席に立つ機会も多くなるだろう。左はからっきしという状態が続けば出番自体がなくなりかねない。
 
 打撃だけでなく守備でも課題は山積みだ。強肩には定評があるものの送球が不安定で、捕球も心もとない。ジャイアンツはファーストないしはサードとして期待しているようだが、現在111kgの体重を考えると日本でサードを守るのは厳しいように思える。もしポジションにつけたとしても昨年わずか74試合で9失策の守備では大穴になることが確実だろう。通算UZR-5.1、守備防御点-10と各種セイバー系の指標でも軒並み悪い数字が出ており、ファースト専門として考えたほうがよさそうだ。
 
 以上まとめると三振の多さ、変化球への脆さ、左投手への対応、守備の拙さ、これらがフランシスコの課題と言える。

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