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移籍2年で能力開花。前半戦の殊勲者「2番大田泰示」に寄せる明るい未来【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#80】

「プラスワン投票」でオールスター初選出が確定していた大田泰示だったが、直近の試合で骨折し、登録抹消。開幕から試行錯誤した打順は、2番大田の起用によって打線として機能を果たし、現在チームを離脱しているが後半戦もキーマンであることに変わりはない。

2018/07/16

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2番大田がはまり、戦える打線へ

 大田のオールスター前の成績は打率.272、ホームラン13、47打点だ。別に飛び抜けた数字には見えないかもしれないが、ユニークなのはこのクリーンアップ級の打者が2番を打ってる事実だ。監督さんの野球観が最も表れるのは2番打者のキャスティングである。栗山英樹監督は今季、開幕から様々な選手を2番に起用し、「最適解」を探ってきた。そして大田がしっくり来たのだ。僕が大田を前半戦の殊勲者に推すのは、形が定まらなかった打線をカチッと束ねる要(かなめ)の役割を果たしてくれたことだ。大田の存在があって、2018年の打線は「戦える打線」になった。
 
「2番大田泰示」は重圧のかけ方が変わる。1番西川が出塁すると、相手バッテリーとしては盗塁の警戒もしなくてはならないし、走者に気を取られて大田への警戒がお留守になってもいけないジレンマに陥る。しかもネクストバッターズサークルには近藤健介がいる。こう、重圧の相乗効果なのだ。大田は長打率が高いから、右打ちでつないだとしてもツーベースがある。と、1塁走者西川はホームへ帰ってきてしまう。で、続く近藤のヒットで大田も2塁から帰る。何というのかな「ビッグイニング製造機」か? 状況に応じて「つなぐバッティング」も「返すバッティング」もできるのだ。
 
 もしもファイターズ打線が単にホームラン打者が並んでるようなものだったら、開幕前の評論家予想通り、下位に低迷しているだろう。一発で点を取る打線は波がある。打てなければあっさり沈黙だ。腕っぷしの強い打者が揃っていて勝てずにいた西武が、辻監督流の走塁&つなぎの意識が加わって現在、首位を走っているのはわかりやすい例じゃないか。
 
 大田は走攻守に野性味あふれるインパクトプレーヤーだ。スケールが大きくて打球が飛ぶし、走らせても速い。本当なら高卒新人から預かって、走攻守三拍子を強調した育成をはかりたかった。「強打者」の部分ばかり見すぎたのだ。大田は持ち前の「走攻守三拍子」を眠らせず、肩の強さ、足の速さもアピールしてほしい。
 
 そして今季の「2番大田」を極めてほしいのだ。たぶん2番打者からの景色は大田の野球観をアップデートしてくれる。状況判断の面白さを知れば、それは彼の野球道に深みを加え、将来、指導者になったときにも役立つような「引き出し」になるはずだ。
 
 確かにオールスター出場辞退は残念だが、逆に考えれば全治3、4週間のうち、オールスターブレークの1週間は稼げるのだ。実質「2、3週間」ということになる。これをポジティブに捉えて、後半戦、更に爆発しよう。大田泰示の野球道はまだまだこれからだ!!
 
頑張れ岡大海、ようこそ藤岡。大田・杉浦に続く「ドラ1再生」となるか【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#81】
 

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