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【データで選出6月月間MVP】広島・丸、出塁率と長打ともに文句なし。西武・菊池は質・量を備えた完璧な投球

2018/07/09

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5割近い出塁率に長打が加わった丸。井上、陽川も少ない打席で健闘

 評価には(1)セイバーメトリクスの一手法を用いて選手の働きを得点換算し、(2)同じ出場機会を「平均的な成績の選手」が担った場合の働き(得点)を基準(=0)に置き、どれだけ上積みをつくったかという推定値を算出して行った。「平均的な成績に対して大きな差をつくり」、また「その状態で多くの出場機会を重ねていく」ことで増えていく数値なので、質と量、両面での貢献を見ることとなる。図中の[]で囲んだ項目でグラフが右に伸びているものはリーグ平均以上、左に伸びているものは平均以下だった数値だ。
 

 
 まず野手から見ていく。パ・リーグは上林誠知(ソフトバンク)が13.2点、セ・リーグは丸佳浩(広島)が16.0点とそれぞれ最高の貢献を果たした。丸は3・4月にもこのランキングでリーグ1位となっている。
 
 丸が大きな差をつけたのは打撃だ。3・4月の丸は月間出塁率.530と高い出塁力が際立っていたが、6月は5割近い出塁率をキープしながら、3・4月に8本だった長打を16本にまで増やした。出塁・長打ともに文句なしの内容である。ほかには青木宣親(ヤクルト)、近藤健介(日本ハム)が打撃で素晴らしいはたらき。井上晴哉、陽川尚将は打席が少なかったため伸び悩んだが、質の高さは素晴らしかった。

パ1位上林は守備でも好値。巨人・田中俊は二塁・三塁で優れたゴロ処理

 守備評価には同じイニングを守った平均的な同ポジション選手と比較してどれだけ失点を防いだかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)を使用する。しかしUZRは同ポジションの選手との守備を比較する指標であるため、今回のように異なるポジションの選手を比較する際は、ポジション間の補正を行う必要がある。一般的に高い守備力、もしくは独自性のあるスキルを要するポジション(遊撃手や二塁手、捕手など)を守った選手はプラスに補正をかけ、その逆のポジション(一塁手や左翼手など)はマイナスの補正をかけるといった具合だ。この守備位置補正をUZRに加えたものが守備貢献となる。
 
 パ・リーグで1位となった上林は高い打撃貢献に加え守備面も評価された。6月は故障の柳田悠岐に代わって守った中堅でも、本塁での捕殺を2度記録するなど強肩ぶりを見せつけている。
 
 ほかには中村奨吾(ロッテ)、平田良介(中日)らが守備で好値をマークした。注目すべきはセ・リーグ5位にランクインした田中俊太。6月は二塁・三塁で出場機会を増やし、走塁、守備で素晴らしい貢献を見せた。特に三塁での三遊間へのゴロを多く処理し、高得点につなげたようだ。

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