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巨人・岡本和真が歩み始めた「第89代4番」の1カ月。輝きと苦悩が凝縮された“濃厚”な時間

 歴史ある読売ジャイアンツの4番ーーかつて王貞治氏や長嶋茂雄氏、そして松井秀喜氏などの強打者が務めてきたこの場所に、今22歳の若者が座っている。岡本和真内野手が歩んだ1カ月を成績とともに振り返る。

2018/07/02

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敵地で4本塁打、左腕には打率3割7分超え。チーム2位の高出塁率も魅力

 岡本が4番に就任してから7月1日終了時点での成績は、全22試合の出場で88打数23安打(打率.261)、11打点、9得点、10四球、21三振。長打は二塁打1本、本塁打5本。
 
 本拠地、敵地に分けると、本拠地では9試合で33打数10安打(打率.303)、4打点、3得点、5四球、8三振、1本塁打。敵地では14試合で55打数13安打(打率.236)、7打点、6得点、5四球、13三振、1二塁打、4本塁打。本拠地で打率3割を超え、本拠地のファンを沸かせており、一方で敵地では最近結果を残せていないが、その前までは本塁打5本中4本を放っているのは特筆すべきところだろう。
 
 また、試合が行われる時間、デーゲームとナイトゲームでも分けてみた。すると、デーゲームでは8試合で30打数6安打(打率.200)、1打点、1得点、2四球、8三振、1本塁打。一方ナイトゲームでは15試合で58打数17安打(打率.293)、10打点、8得点、7四球、13三振、1二塁打、4本塁打。試合数と打席数の多いナイトゲームの方が高打率。13三振の代わりに、長打力が強く発揮されているのは心強い。
 
 先発出場時の守備位置別の打撃成績は次の通りだ。一塁で先発した試合が20試合と多い分、打数も多いが77打数18安打(打率.234)、9打点、8得点、9四球、17三振、1二塁打、5本塁打。一塁で先発しない時は三塁で出場した。三塁先発試合は3試合あり、11打数5安打(打率.456)、2打点、1得点、1四球、4三振をマーク。5安打中3安打は9日の西武戦1試合で放っている。試合数に開きがあるため単純な比較はできない。
 
 圧倒的に多い一塁先発出場時は打率.234にとどまっているが、全ての長打を記録している。一塁は一塁なりに守備の難しさもあるものの、それでもほとんどのアウトに関わることでリズムが生まれ、攻撃に生かせる点もあるかもしれない。打率4割を超える三塁守備を行った試合数がまだ少ないため、どちらが優れているかという点では判断は出来かねるところだ。
 
 最後に、対戦投手の左右別成績。対右投手では、70打数17安打(打率.243)、9打点、6得点、6四球、16三振、1二塁打、3本塁打。3本塁打は、オリックス・山岡、ソフトバンク・摂津と石川。そして唯一の二塁打はソフトバンク・武田から放ったもの。そして、対左投手は16打数6安打(打率.375)、2打点、3得点、4四球、5三振、2本塁打。この2本塁打はヤクルト・ハフ、広島・ジョンソンの両外国人から放ったもので、打率も3割7分以上を記録しており、セオリーを覆して得意と言える数字だ。
 
 そして、岡本の特長は安打、長打による打力だけではない。選んだ四球は29個。これはセントラル・リーグで14位の数字だが、チーム内で見ると坂本勇人内野手の43個に次いで2番目に多い。今季の出塁率は.377で、これはリーグ13位。ここ5試合連続無安打であるとはいえ、投手にとっても「巨人の4番」が重圧に成り得ている部分もあるだろう。
 
 長嶋茂雄氏(第25代)、王貞治氏(第28代)、原辰徳氏(第48代)、松井秀喜氏(第62代)…巨人の歴史を鮮やかに彩ってきた4番。“歴史上の人物”のような活躍にも引けを取らない存在になりうるのか。壁を乗り越え、新たな成長を得られるのか。いずれにせよ、岡本和真という男が「未来の巨人」を担う大事なピースであることは間違いない。

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