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選手が言いにくいことを球団に伝え、交渉するのが我々の仕事【事務局長・松原徹氏に聞く、日本プロ野球選手会の実態3】

2004年の球界再編問題の時に、日本のプロ野球選手会の存在を知った野球ファンの方は多くいるのではないだろうか。今回、ノンフィクションライターの田崎健太氏がプロ野球選手会事務局長の松原徹氏へ選手会、そして野球界の抱える様々な問題について取材を行った。3回目以降は選手会事務局の仕事内容や、2000年代に入り選手会のあり方が問われる諸問題へどのように対応していったのか。その実情に迫る。

2015/04/12

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ベースボールチャンネル編集部



選手会事務局の仕事内容とは?

 86年のシーズンが終了した後のことだ。ロッテ・オリオンズの球団職員だった松原徹は落合博満から呼び出され、選手会で働かないかと誘われた。
 
 前年に選手会が労働組合として認定されたこともあり、専属で働く人間を増やす必要が出て来たという。
 
「お前、ちょっと勝負しろや」
 
と落合に発破を掛けられたが、松原は気乗りしなかったという。
 
「ぼくは一つの球団で選手たちと一緒に優勝したいという気持ちが強かったんです。選手会というのは12球団全ての面倒を見なければならないですから。とにかく少し考えさせて下さいと返事しました。落合さんと色々と話すうちに、選手会のことをやるのも悪くないと思うようになりました」

 翌87年12月、松原はロッテを辞め、選手会で働くことになった。
 選手会事務局の1年は、2月のキャンプ回りから始まる。全球団のキャンプ地を訪れ、前年度の活動報告、今年度の方針を説明するのだ。そして、選手の要望を聞いていく。
 その内容は様々だ。
 
「12月に球団主催のクリスマスパーティがある。それに参加したくない。あるいは自主トレは選手の意思で行うと決められているのに強制になっている。これは明らかに野球協約違反ですね。また、チームで決めた罰金の額が法外だとか。野球協約を読んでもらえればわかるんですが、残念ながら日本のプロ野球界は選手と球団が対等ではない。選手は非常に弱い立場」
 
 選手が言いにくいことを球団に伝え、交渉するのが我々の仕事なのですと、松原は言う。
 
「その他、お金の相談とかもあります。野球選手というのはローンが組みにくい。共済制度では足りないのでどうしたらいいかという話もあります。若い選手にはお金の使い道をちゃんとするように諭すこともあります。そういったことも含めて、地道な活動です」

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