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高卒2年目投手がプロ野球席巻、代表格はオリ・山本由伸 “豊作世代”へ期待も懸念すべき起用法

今季のプロ野球では、2016年ドラフト組の高卒2年目の投手が熱い。セ・パ両リーグにおいて若い投手の活躍が光るが、その起用法はチームによって異なる。各球団はどのようなビジョンで育成を行っているのか。

2018/06/12

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登板過多が最も心配されるオリックス・山本

 その点でもっとも心配なのが新人王候補にも挙げられているオリックスの山本だ。
 
 ストレートは150キロを計測し、カットボール、フォークボールのキレも秀逸だ。昨季にデビューを果たして、勝利を挙げたほどの逸材で、将来のエース候補とさえ呼ばれている。
 
 今季のオリックスは先発ローテーションの枠がほぼ埋まっていることもあって、山本はブルペンに回った。いまではセットアッパーを務め、チームにとって欠かせぬ勝利の方程式の一員となっている。
 
 しかし、彼の起用をみていると、“高卒2年目の若い投手”であることを考慮に入れているようにはみえないのだ。
 
 山本に才能があるのは間違いないが、オリックスというチームが過去に、セットアッパーの酷使を続けたチームであるだけに、不安は残る。
 
 下記は過去5年間の間に、年間50試合以上登板を果たした投手だ。
 
佐藤達也 2013、14年:67試合、2015年:59試合 
岸田護  2014年:55試合、2015年:50試合
比嘉幹貴 2013年:59試合、2014年:62試合
海田智行 2016年:50試合
塚原頌平 2016年:54試合
吉田一将 2016年:54試合
近藤大亮 2017年:55試合
黒木優太 2017年:55試合
 
 彼らが今季もブルペンの中核を形成しているのなら、一定の育成期準のもとに選手が起用されているという憶測が立つが、実際は山本がセットアッパーを務めなければいけない状況に陥っているのだ。かつてのセットアッパーたちが軒並みのパフォーマンスを落としているだけに、高卒2年目の山本への疲労が心配でならない。
 
 もっとも、オリックスには山本を4、5年後にどういう役回りにするかのビジョンはあるだろう。現在の起用法や登板数だけでは判断できないところもある。
 
 そして、それは高卒2年目の起用をしている球団、すべてに共通していることも忘れてはいけない。
 
 高卒2年目からチームの重要なポストを担えるというのは、それなりの実力があるからだ。しかし、育成の順序を間違えると、どれだけの素材があってもチームを長く支える戦力になることはできない。
 
 今季、芽を出し始めた高卒2年目の投手たちは、4、5年後どの役割を担っているか。各球団が選手をどう育成していくかのビジョンを持っているかがカギになる。
 
 
文・氏原英明

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