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西武・菊池雄星が迎えた二度目の開幕。“心と身体の一致”で上げたギア、無失点マウンドが印象付けたエースの復活

埼玉西武ライオンズの菊池雄星投手が6月1日、阪神タイガース戦に先発登板し、今季6勝目を挙げた。左肩の張りで5月6日に登録を抹消されて以来の1軍マウンド。開幕からいまひとつ調子が上がらなかったエースが明るい兆しを見せた。

2018/06/05

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開幕から“ZONEに入りきれなかった”エース

 離脱した5月6日以前には見られない投球だった。
 
 昨季までの菊池は、ピンチになればなるほど腕を振り、三振を狙った。その姿勢は投球フォームに表れ、ギアを上げるときには、左肩を下げて投げる“ショルダーステイ”を極端に意識していた。テークバックの時に左肩を下げることで、パワーをためるのだが、三振を取りたいピンチの場面のとき、よりその意識を強くした。
 
 今季は開幕以降、ピンチの場面で思い切り腕が振れなかった。
  
 菊池は言う。
 
「今季のこれまでは、ピンチになると打ち損じを期待しているところがありました。ピンチになって、ストレートを連続で投げることが今季は1回もなかった。その現実がすべてかなと思います。自分を信じ切れないというわけではないんですけど、入りたくても入れない。痛くないようにとか、力を逃がしながら投げるという前提があったので、100%で入りきれなかったです」。
 
 入りきれない――。
 
 それはつまりZONE(集中力)のことだ。菊池は二桁勝利をつかんだ2016年から試合の勝負所を見極める努力をしてきた。試合の流れを決める場面だと思った際には、集中した状態に入り、打者に立ち向かう。
 
 今季はその勝負所で、「入りきれない」日々が続いていた。
 
「心と身体が一致しなかった。何かを考えているだけで、人って(集中の世界に)入れないじゃないですか。それがずっと続いていた。でも、今日はそれがなかった。カーブとチェンジアップが決まったのも良かったですね」
 
 もっとも、本人はこの日のピッチングすべてに納得しているわけではない。

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