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【データで選出3・4月月間MVP】圧倒的長打力の西武・山川、出塁率5割超えの広島・丸。投手の最高評価はオリックス・西

2018/05/17

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山川は28安打中18本が長打。丸は1ヶ月で36四球と図抜けた数字

 評価には(1)セイバーメトリクスの一手法を用いて選手の働きを得点換算し、(2)同じ出場機会を「平均的な成績の選手」が担った場合の働き(得点)を基準(=0)に置き、どれだけ上積みをつくったかという推定値を算出して行った。「平均的な成績に対して大きな差をつくり」、また「その状態で多くの出場機会を重ねていく」ことで増えていく数値なので、質と量、両面での貢献を見ることとなる。図中の[]で囲んだ項目でグラフが右に伸びているものはリーグ平均以上、左に伸びているものは平均以下だった数値だ。
 

 
 野手は山川、丸佳浩(広島)がそれぞれ15.0点、14.1点で最高の総貢献を果たした。他の選手に大きな差をつけたのは打撃だ。だが同じ打撃でもそれぞれどういった形で貢献をしたかの過程は異なる。
 
 山川は12球団最多の11本塁打と圧倒的な長打力で貢献した。ただ二塁打6本、三塁打1本と、本塁打以外の長打が多かったことも打撃評価を高める要因となった。丸も5本塁打と長打力を発揮したが、それ以上に出塁能力の高さが目立った。.312の打率に加え、3、4月に選んだ四球は12球団ダントツの36個。2位の山川が22個だったことを考えると、どれだけ突出した数字かがわかるだろう。
 

月間MVPの坂本のほか源田、山田、菊池が守備で高評価

 守備評価には同じイニングを守った平均的な同ポジション選手と比較してどれだけ失点を防いだかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)を使用する。しかしUZRは同ポジションの選手との守備を比較する指標であるため、今回のように異なるポジションの選手を比較する際は、補正を行う必要がある。一般的に高い守備力、もしくは独自性のあるスキルを要するポジション(遊撃手や二塁手、捕手など)を守った選手はプラスに補正をかけ、その逆のポジション(一塁手や左翼手など)はマイナスの補正をかけるといった具合だ。この守備位置補正をUZRに加えたものが守備貢献となる。
 
 月間MVPの坂本勇はこの守備評価で4.6点を獲得。総合的に丸には及ばなかったが、打撃でつけられた差の大部分を埋めることに成功していた。そのほかには源田壮亮(西武)、山田哲人(ヤクルト)、菊池涼介(広島)が打撃に加え、守備でも高い貢献を見せていた。
 
 逆に打撃の貢献度は高いが、守備面でマイナスの評価を受けたのが山川、岡本和真(巨人)だ。彼らはともに守備力の高くない選手が集まる一塁手であり、またその中でも傑出した守備力を見せることができなかった。“本家”月間MVPでは打率や本塁打など打撃成績が重視されているように見えるが、こうして貢献を総合的に見ると打撃だけで他選手と渡り合うのは難しいことがわかる。そんな中でも最大の貢献を示した山川はそれほど圧倒的だったということだ。

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