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亡き母と交わした約束を叶えるために DeNA・山下幸輝が大切にしてきたもの

7月28日の巨人戦でDeNAのルーキー・山下幸輝内野手がプロ初安打そして初打点を挙げた。とりわけ体格や身体能力がずば抜けていない彼が現在の立場を掴んだ裏には、野球へのひたむきな姿勢と周囲の人々への感謝があった。

2015/07/29

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高木遊



yamashita
ドラフト指名の瞬間、山下は人目をはばからず号泣した。
 

亡き母と交わした新たな約束

 この原稿のために、前述のエピソードを明かしてくれたかつての仲間からは、山下を愛する思いがひしひしと伝わってきた。またプロ入り後のファンに接する山下の姿勢も親切丁寧だ。
 
 こうした人を愛し愛される人間性は、母親譲りなのではないか。
 
 山下の母・春代さんは、山下の小学校6年時に、応援に駆けつけていたグラウンドでくも膜下出血により倒れ、1週間後帰らぬ人に。
 
 愛する母を突然失った悲しみで自暴自棄になりかけていた山下を支えてくれたのが、末っ子の幸輝を含む3兄妹を育てた父・昌和さんや祖父母、そして春代さんを生前に深く慕っていた周囲の人々だった。
 
 通夜や告別式では、僧侶が驚くほど多くの人々が参列した。中学時代の君津リトルシニア所属時には友人の母親が、山下の分までお昼のお弁当を作ってくれるなど、「多くの方々が支えてくれて今があります」と山下は当時を振り返る。
 
 だからこそ「プロ野球選手」という目標が単なる自分自身の夢ではなく、母や支えてくれた人たちへの「約束」となり、一心不乱に野球に取り組み、憧れの舞台にたどり着いた。
 
 そして、山下はプロ入りが決まると母の墓前で新たな約束を交わしたという。
それは「20年現役」。母が亡くなった42歳までプロ野球選手でいることで、それが親孝行になると考えている。
 
 感謝の気持ちを忘れず新たな目標を得た山下は、これからも自らの感性と周囲の人々を大切にし、より「愛される選手」へと成長を遂げていく。この初安打と初打点はその一歩に過ぎないが、間違いなく大きな一歩となったはずだ。
 
取材協力:国学院大学硬式野球部、竹内岳、小田垣潤一郎、本間諒、星利磨
 
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