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菊池と則本の投げ合いに見たエースの矜持。試合を支配する「三振の力」【新装版・野球新書】

試合の勝敗、投手の球速、野手の打率、盗塁数…プロ野球を観戦する際に注目するポイントはいくつもある。今回は4月13日の東北楽天ゴールデンイーグルス-埼玉西武ライオンズ戦において、試合の流れを左右した両チーム・エースの「三振の力」について考える。

2018/04/17

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「三振の力」を使った菊池の投球

 13日の試合は初回を則本が三者凡退で斬ると、1回裏から激しく動いた。
 
 楽天の1番・島内宏明が中前安打で出塁すると、2番・渡辺直人でエンドランが成功し、適時二塁打となり1点を先制。続くペゲーロが左中間スタンドへ2点本塁打。3点を先制した。
 
 2016年から菊池に12連敗中の楽天。対策を練っていたのがわかる先制攻撃だった。しかし、直後に予想外の展開がまた起きた。
 
 2回表、西武は先頭の4番・山川穂高が中越えのソロ本塁打を放つ。これが反撃ののろしとなり、西武打線が則本に襲い掛かった。
 
 森友哉、外崎修汰の連打で無死二、三塁の好機をつくる。1死後に炭谷銀仁朗の2点適時打、金子侑司が四球でつないで2死後、2番・源田壮亮が適時二塁打を放ち、この回5得点で逆転に成功したのである。
 
 両エースが先発しながらよもやの展開。先にペースをつかんだのは菊池だった。
 
 圧巻だったのは、西武がさらに1点を追加した後の3回裏。菊池は楽天打線を三者連続三振に斬った。この回の気合の入りようは先の言葉にあるように「三振の力」を使ってゲーム展開を引き寄せたいという流れを読んだピッチングだった。菊池はギアを上げて、試合の主導権をチームに持ってこようとしていた。
 
 実際、西武はこの後の試合を支配していた。前半を終え6-3とリード。しかし、3点差以上の開きを感じた。エース菊池が流れを呼び込んだのが大きい。
 
 しかし、楽天のエースも黙ってはいなかった。則本は4、5回を三者凡退で切り抜けると、6回表に鬼気迫る投球を見せた。先頭の7番・中村剛也を遊ゴロに取った後、炭谷、金子侑を連続三振に斬ったのだ。
 
 これは3回の菊池の三者連続三振と同じように、チームに勢いをつけるピッチングだった。菊池が言うように「三振の力」が本当にあるなら、この則本の投球で流れが変わることは大いにあり得た。

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