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マルティネス?ロドリゲス? ”やりくりイヤー”を示唆する、外国人投手の開幕シリーズ起用報道【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#72】

今年チームの柱として活躍が期待されている有原、鍵谷が開幕に間に合わない。開幕を目前に控え、不安材料が増える中、栗山監督はどのような采配を振るうのか。

2018/03/24

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ドラマチック栗山采配も今年はリアリストに

 注目すべき報道が出始めた。外国人投手の開幕シリーズ起用だ。本来ならこの手の情報は(予告先発で直前に明らかになるにせよ)機密扱いされるべきところであり、どういうニュアンスで洩れてきたのか興味深いものがある。多くはスポーツ紙の番記者さんの熱心な取材のたまものだが、観測気球的に情報を出して世間の反応を確かめようというケースもあり得る。どっちにしてもそれを通じて僕らは「心の準備」ができるのだ。
 
 以前、当コラムで「開幕投手はロマンだ」という話を書いた。有原離脱の今シーズン、開幕投手の栄誉を担うのは高梨か上沢か加藤か、はたまた斎藤佑樹か、2年目の堀瑞樹か、といった内容だった。「代役の開幕投手」であってもそれをきっかけにジャンプアップし、本当にエースに成長してしまうことがある。そんな「投手の勲章」を栗山監督は一体誰に授けるのだろうかと。
 
 それがマルティネスかロドリゲスかもしれないのだ。というか報道によればこの2人を開幕1、2戦に立て、登板後は即・登録抹消、外国人選手5人を枠内でフル活用していこうという考えらしい(報じられている第3戦の先発は加藤)。うわあ、と声が出た。開幕戦はチームの施政方針演説だ。この1年、うちはこういう考えで行きますよ、もちろん途中で変更することはあり得るけど現時点ではこういうビジョンですよ、というものを提示する場だ。外国人投手の開幕シリーズ起用でファイターズは何を提示するのか。「今年は栗山監督のやりくりイヤーですよ」ということじゃないか。
 
 栗山英樹という人は本来、ロマン派の監督さんだ。だから「4番打者・中田翔」も「二刀流・大谷翔平」も実現したのだ。誰よりも野球で夢が見たい。だから上記のような報道が出てもドタンバで「開幕・堀瑞樹!」くらいやりかねないところがある。何がいちばんしびれるか、何がドラマチックかを考える監督さんだ。
 
 長期政権を担っているせいもあるが、彼は既に「ポスト・ダルビッシュ有」を経験している。立て直しの実績がある。「ポスト・ダルビッシュ有」のときは斎藤佑樹を開幕投手に立てる一方、吉川光夫を本格化させることに注力した。大エースが抜けた後に、大エースを仕立て上げた。ぜんぜん打てなかった中田翔を4番で使い続け、モノにしてしまったのと同じやり方だ。吉川はシーズンMVPを獲得する働きを見せ、リーグ優勝に貢献する。だからそれをそっくり今季に当てはめれば、例えば高梨裕稔を開幕投手に立て、大エースに化けさせるといったストーリーのほうがイメージしやすい。
 
 が、「ポスト・大谷翔平」は外国人枠の有効活用から物語が始まるらしい。これは本格的な「やりくりイヤー」を意味する。本当に大変なんだなぁ。今季はロマン派監督のもう一つの顔、「リアリスト・栗山英樹」に注目だ。ガマン強く、粘り強く応援しよう。
 
”転校”した大谷の活躍を刺激に――王貞治を彷彿させる近藤健介の凄み【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#73】
 

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