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中日入団の松坂、知られざるSBの怒り。怪物復活か世間の笑い者か…己の力を示すのみ

中日ドラゴンズに入団し、球界の注目を集める松坂大輔投手。福岡ソフトバンクホークスでは大型契約を結びながら、3年で1軍登板は1試合だった。自身初のセ・リーグの舞台で“怪物”は復活できるのか。

2018/01/30

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知られざる古巣の不満

 松坂はソフトバンク側から2018年の契約に関して支配下登録を一旦外し、育成選手契約もしくはコーチ契約を結び直した上で右肩のリハビリを行っていくプランを打診されたものの拒否している。
 
 あくまでも支配下登録選手としての現役続行にこだわり、これまでロクに仕事が出来なくても我慢して大型契約を結んでくれていたホークスの温情を最後に突っぱねた。
 
 もちろん公にはなっていないが、ホークスのOBや関係者からは松坂に対する不信感や怒りの声も確かに漏れ伝わって来ている。これだけの大金を払って尽くしてきたのに、何も恩返ししないまま出て行ってしまうのか――。おそらく、そのような不満をソフトバンク側が松坂に抱いていたとしても何ら不思議ではない。
 
 しかしながら松坂もこれだけの決断をした以上、ソフトバンクを「敵」に回すことは覚悟の上であったのだろう。聞くところによれば、今オフに右肩のコンディションを崩す要因となっていた患部が民間療法で完治し、球速も140キロ台後半まで上がるようになったとの情報も飛び交っている。
 
 前所属のソフトバンク時代まで松坂に関するグッドニュースは「開幕前の風物詩」と揶揄されていただけに残念ながらまだ鵜呑みに出来ないとはいえ、期待感は極力持ちたい。仮に中日で奇跡の復活を遂げれば、これまで浴びせられていたバッシングやブーイングを声援に変えることも出来るはず。
 
 そして復活を果たすことによって「支配下登録外し」を打診したホークスの判断が間違っていたことを証明する形につながるかもしれない。もはや松坂は中日移籍が正しい選択であったことを己の力で示すしか、道は残されていないのだ。
 
 だが逆に中日でもこれまでと変わらず1軍のマウンドへ上がれなければ、もう完全に世間の笑い者へと成り下がる。そんなことにでもなれば、かつて甲子園、NPB、MLBで活躍した怪物は晩節を汚したままユニホームを脱がなければならなくなってしまうだろう。
 
 今季、こうした大きなリスクを背負いながらも“竜の松坂”は少ないチャンスの中で怪物復活のストーリーライン実現を本気で目指すつもりだ。

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