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セイバーメトリクスで考える17年ベストオーダー。大量点期待の強力打線に<パ・リーグ編>

セ・リーグに続き、選手の個人記録を組み合わせて算出する総合的な評価指標をベースに、パ・リーグのベストナイン、ベストオーダーを選出する。僅差の選手については、指標を構成する各要素をその都度比較し検討を行っていく。

2017/11/09

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初回から大量得点が期待できる強力な上位打線が完成

 ショート、サードの2ポジションで1人に絞ることができなかった。セ・リーグ編では「NPBの代表チームとして、ある1試合に勝つためのベストオーダー」という基準で選び、同程度の貢献を果たした選手の中で、機会の少なかった選手を高めに評価することとしたが、パ・リーグでそのルールを用いるのは少々抵抗を感じてしまった。
 
 ショートは故障で出場機会を減らした茂木を選出することになるが、入団から2年続けてシーズンを通してプレーできていない実情を考えると、フルシーズン換算した成績を信頼するのは現時点では難しい。ここは攻守でバランスのよい働きを見せた今宮とさせてほしい。
 
 サードも今季の質のまま中村奨が出場機会を伸ばすことがあれば、ウィーラーや松田を上回る貢献になりそうだが、キャリアハイとなった今季の成績をフルシーズン換算するのはこちらも非現実的だ。ここは現実的にウィーラーに守備、走塁面で大きな差をつける松田を選出したい。
 
 なお、1、2番に出塁力に長けた強打者を優先的に置く、セイバーメトリクスで提唱されることの多い形に則った打順も、一案として挙げておく。
 
1指名 近藤 健介(日本ハム)
2右翼 柳田 悠岐(ソフトバンク)
3中堅 秋山 翔吾(西武)
4一塁 山川 穂高(西武)
5二塁 浅村 栄斗(西武)
6左翼 西川 遥輝(日本ハム)
7三塁 松田 宣浩(ソフトバンク)
8遊撃 今宮 健太(ソフトバンク)
9捕手 甲斐 拓也(ソフトバンク)
P先発 則本 昂大
P救援 デニス・サファテ
 
野手の評価について
 今回のベストオーダーの検討では、打撃に関してはwRAA(weighted Runs Above Average)を、守備についてはUZR(Ultimate Zone Rating)を用いている。
 
 wRAAは、打撃を出塁力と長打力の両面から評価して、得点をつくり出す上でどれだけ働きを果たしたかを評価した数字で、基準(ゼロ)を平均的な打者が同じだけ打席に立ったときの働きに置いており、それに対しどれだけ差をつくったかを示している。今回は走塁や球場の性質などは考慮していない。
 
 UZRは、打球をいかにアウトにしたかをベースに、失策の数、また外野手は走者の進塁をいかに阻んだか、内野手は併殺をどの程度完成させたかも考慮している。キャッチャーについては、盗塁抑止と捕逸の少なさ、その他の失策の少なさで評価しており、リードやフレーミング(ストライクゾーンの際のボールのキャッチング技術)などは考慮していない。
 
 投手については本文にて説明した通り、投球回と奪三振、与四球、ゴロ割合という失点を減らす上で重要な要素と、それらを使って算出する総合指標WAR(Wins Above Replacement・先発投手の場合)とWPA(救援投手の場合)を用いた。

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