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黒田博樹と共有してほしい、”1球の重み”

「これからそう長くはない野球人生の中で、投げられる球数は限られている。それを考えたときに、このままメジャーで投げる1球と、カープで投げる1球とでは重みが違う」。黒田博樹にとって、1球に対する思いは深い。

2015/03/18

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1球の重みの共有を

 メジャーの7年間で、「この1試合、1球で終わってもいい」という覚悟を黒田はどんどん深めていった。1球に対する思いはカープ時代よりも遥かに強くなっていた。メジャーの高額オファーを袖にしてカープに復帰することを決めた大きな理由のひとつが「1球の重さ」だったということは、復帰の会見などで彼は口にしている。
 過去のカープ時代は、完投が投手の本分だと考えていたような黒田だったが、中4日で168試合を戦うメジャーで球数はおろそかにできない。1球の重みは相対的にはメジャー時代のほうが重かったことになる。
 
 しかしカープ復帰を決断するにあたって黒田は、「これからそう長くはない野球人生の中で、投げられる球数は限られている。それを考えたときに、このままメジャーで投げる1球と、カープで投げる1球とでは重みが違う」と、自らの絶対的な価値観で判断して彼はカープに帰ることにしたのだ。
 
 そういう中で起きた、今回の出来事。5回1アウトを取ったところでベンチが突然バタバタとし、当惑しながら黒田がマウンドを降りていったシーンが、今後のペナントレースの戦いぶりを象徴していたようで、嫌な予感が脳裏をよぎったのだった。
 
 7年間のメジャー生活で、黒田は確実に成長し、ひとまわりもふたまわりも大きくなって帰ってきた。
 
 もちろん黒田は日本の野球にアジャストしようとしているように、カープの現在の環境にも対応しようとしているのだろう。しかし、それが現状のカープに馴染んでしまうこと、万が一、メジャー前の黒田の形に戻ってしまうことになったのでは、メジャーリーガーの復帰も形無しだ。
 
 黒田の1球の重み。改めてチーム内で共有してもらいたいものだ。
 
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