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清宮幸太郎の魅力――「ヴェールに包まれた」潜在能力への期待感【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#63】

今年のドラフトの目玉・清宮幸太郎(早実)の交渉権を7球団競合の末、日本ハムが引き当てた。甲子園を沸かせた大器が、日本ハムでどのようなプロ野球人生を歩むのか楽しみだ。

2017/11/04

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7球団競合で交渉権を獲得

 今年のドラフトは個人的にも稀有な体験だった。7球団競合の末、日本ハムが清宮幸太郎(早実)の交渉権を獲得した瞬間、僕も木田優夫GM補佐と同じで拳を高く突き上げたのだが、何か天井が近いなと思ったら知らぬ間にソファの上に立っていた。それでも気持ちがおさまらず、ガラガラッと窓を開けて「やったよー」と言った。近所迷惑になると困るから小声だ。そしてまたガラガラッと窓を閉めた。興奮して落ち着かないのだ。意味不明に部屋のなかで立っていた。そうしたらじゃんじゃんLINEが入りだし、第一波は主としてファイターズ応援仲間の「やった~!」「よっしゃー!」みたいなやつ。皆、感情の高ぶりを抑えられないらしい。で、しばらくして第二波の「おめでとうございます!」「日ハム強運ですね」が来た。これは知り合いの編集者とか、放送局の人とか、まぁ仕事関係だ。
 
 翌朝はスポーツ新聞を全紙買った。優勝もしてないのに全紙買うなんてなかなかないことだ。記憶をたどってみて、ダルビッシュ有のときも中田翔のときも斎藤佑樹のときも大谷翔平のときもやってない。やっぱり7球団競合に勝って完全に調子づいている。仕事に出たら色んな人から「おめでとうございます」「やりましたね」と言われる。僕自身はなーんもしてないのだが、「いや、ありがとうございます」なんて応じている。たぶんおでこに「祝・清宮」と書いてあるのだ。か、書いてあるも同然のニコニコ顔なのだ。
 
 読者よ、高校通算111本塁打(歴代1位)の大砲、清宮幸太郎選手のファイターズ入りが確実になった。人気実力ともに破格の存在だ。スポーツ紙の1面を張れるスターだ。プロでまだ1打席も立ってない選手に気の早い話だが、評論家筋は早実の先輩・王貞治氏の記録に挑戦すべきだと言ったり、松井秀喜氏プロ入り時と比較したりしている。

 僕が驚いたのは、当日朝、実家の母に電話したとき「ドラフトだね。清宮君は一体どこに入るかねぇ」と言ったことだ。彼女は81歳だ。ものすごいことじゃないだろうか。わんぱく坊主のような顔が可愛いそうだ。キャラが立っている。いやぁ、81歳のおばあちゃんから名前がパッと出てくる野球選手ってあんまりいないだろう。

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