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清宮、7球団競合の理由とは? 失敗は阪神と迷走の巨人「捕手に固執した意味がわからない」【小宮山悟の眼】

プロ野球のドラフト会議が終わり、最大の目玉候補だった清宮幸太郎内野手(早実)は7球団競合の末に、北海道日本ハムファイターズが交渉権を獲得した。そのほかにも、甲子園6本塁打の中村奨成(広陵)は広島東洋カープ、アマチュアNo1左腕・田嶋大樹(JR東日本)は2球団競合の末に、オリックス・バファローズがくじを引き当てた。清宮の存在で大きくクローズアップされた今年のドラフトを総括する。

2017/10/28

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今年のドラフト、成功球団と失敗球団

 他の指名リストを見ていくと、今年最もいい指名をしたのはオリックスだ。
 
 1位で田嶋大樹(JR東日本)、2位で鈴木康平(日立製作所)の交渉権を獲得した。田嶋はもちろんのこと、鈴木康は1位指名でもおかしくない投手だった。ドラフト1位クラスの投手を二人も獲れているわけだから、これは大きい。
 
 オリックスは昨年も山岡泰輔、黒木優太と好投手2人を指名した。清宮の指名を回避して、とにかく1番プロに近いレベルの選手を集めないと低迷打破できないという判断があったのだろう。チーム編成上、現実的なドラフトを展開したといえる。
 
 逆に今年のドラフトで良くなかったのは阪神と巨人だ。
 
 阪神は本当に欲しいのは誰だったのかというのがみえなかった。清宮、安田を抽選で外して投手の指名をした。1位で交渉権を獲得した馬場皐輔(仙台大)が即戦力ではないと言わないが、本当なら社会人の名のある投手に行った方がいいのではないのか。これから(FAなどで)補強する当てがあるのかもしれないが…。
 
 巨人に関してはあれほどキャッチャーに固執した意味が分からない。相川が引退したということで、その穴を手っ取り早く埋めたいということだろう。言い換えれば、それほどキャッチャーが必要だと考えていて、現在の正捕手・小林誠司への信用がないという裏返しともとれる。
 
 ともかく、清宮には王さんの大記録を目指して頑張ってほしい。
 
 おそらく栗山監督なら1年目からの抜擢もあり得るだろう。1年目で活躍した清原和博に比べて、数字は届かないのではないかとみているが、日本ハムの選手育成方針は軸がブレていないから、間違いなくいい選手に育つだろう。
 
 
小宮山悟(こみやま・さとる)
 
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。

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