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落合博満が”打席でバットを振らなかった理由”。落合流オープン戦の考え方【横尾弘一「野球のミカタ」】

オープン戦が本格的に始まる。各球団、3月末の開幕に向けてチームの形をつくっていく時期だ。オープン戦はどんな見方をすると面白くなるだろうか。(2015年3月1日配信分、再掲載)

2015/03/01

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横尾弘一



変化に気づく感性を磨く

 ただ、監督にも選手にも、このオープン戦の間に取り組むべき共通点はあるという。それは、野球に対する感覚を研ぎ澄ませておくことだ。
 
「プロ野球選手は、約半年間という長いシーズンを戦うのが仕事。だから、一年ごとに経験を積めば、技術やコンディションの面では、いつ何をすればいいかという知恵はついてくる。開幕の頃はこういう体調で、こんなプレーができればいいと頭と体がわかっているから、そこまでにもっていく方法を理解していれば心配ないでしょう。ただ、一年経つごとに知恵は増えるんだけど、年も取っていくから変化するものがある。35歳の自分と36歳の自分には、どこかに必ず変化した点があるんだ。それをどう自覚し、何らかの対処が必要ならば、開幕までに済ませておかなければいけない。そうしたことに早く気づく感性というのかな、自分自身の変化に対する感覚を研ぎ澄まさなければならないでしょう」
 
 現役時代の落合は、オープン戦の段階になっても、「まだ目が慣れないうちに変化球まで打とうとすると技術を壊す」と考え、若手投手が必死に変化球を投げ込むと、ピクリとも動かずに見送り三振することもあった。そうやってデリケートにコンディションや技術を考えながら、「変化球に目が慣れるのが遅くなった」とか「前年とオフの取り組みを変えたら腰の状態がよくなった」などと、自分自身の僅かな変化を確認する。同じように、相手投手が仕上げの段階で投じるボールからも、彼らの変化を感じ取っていたのである。
 
 ファンにとっても、まだ勝ち負けに目くじらを立てず、若手の成長や新たな戦力に注目できるオープン戦。その中で、どの選手がどんな方法でペナントレースに向けた感覚を研ぎ澄ませているのか、試合中の動き方から推察してみるのも、この時期特有の楽しみ方のひとつだと言えるだろう。
 
雨天中止を、ペナント制覇の味方に――勝負師・落合GMの日程消化術【横尾弘一「野球のミカタ」】
 
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