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「企業スポーツ」ならではの展開? 西武プリンスドーム名称変更から考える、ネーミングライツ

今シーズンより、西武ドームの名称が「西武プリンスドーム」に変わる。日本でも積極的に採用されているネーミングライツ。そもそも、ネーミングライツを取得することでどんな効果が期待されるのだろうか?

2015/02/24

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ネーミングライツを購入する目的は?

 ネーミングライツ購入企業にとってのメリットは2点。広告宣伝と地域貢献が挙げられる。有名な施設であれば、世界的な広告効果が期待できる。(エミレーツ・スタジアムなど)その施設が取り上げられるたびに、TV、ラジオ、新聞、ネットなど媒体に限らず、名前が登場するわけである。また、地元の人にとっては、自分たちの大切な施設の運営の費用を払ってくれている企業ということになろう。ただし、企業側も長期で契約するデメリットがある。20年先の自社の業績を予想するのは困難だからである。
 
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(RIGHT STUFF調べ)
 
 ところで、このネーミングライツのお金だが、どこに入って来るのだろうか?
 答えは、施設保有者である。つまり、宮城県営球場のネーミングライツの権利金は基本的には宮城県に入ってくる。では、今回の西武ドーム保有者は誰か? 西武鉄道である。よって、ネーミングライツの権利金は西武鉄道に入ってくるのである。
 
 プリンスは言わずと知れた、西武HDの中核事業の一つ、ホテル事業のブランド名である。
 西武HDは東京株式市場において、年初、時価総額が東急電鉄を抜いて初めて私鉄首位に立った。要因は安定した鉄道収入と海外顧客の増加によるホテル事業の好調である。西武HDは政府の観光立国戦略に則って、外国人観光客で収益拡大を目指していると聞く。

 今回の西武ドームのネーミングライツは、球団や球場の収益改善以上に、グループ全体として保有している権利をうまく使ってブランディングしていくという狙いもありそうだ。
 
 そもそも、西武ドームに特定の企業の名称が着くのは、2007年1月から2008年1月までネーミングライツを取得していたグッドウィル以来である。この契約は1年で終了しているが、実際は5年契約を結んでいた。しかし、グッドウィルが厚生労働省から業務停止命令を受けたのを受け、契約中途での解約に至っている。この時に、西武側はネーミングライツ取得の難しさを痛感し、以後、ネーミングライツ取得に慎重になっていた。
 
 今回のこの案件は、日本の「企業スポーツ」ならではの展開といえるかもしれない。
 
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