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先発より中継ぎの整備を!! QS失敗時の『負け率』から見えてくる、“ゴールデンイヤー”ロッテ最大の不安要素

春季キャンプもいよいよ大詰め。各チームの戦力状況も、不確定要素が満載とはいえ、おぼろ気ながらに見えてきた。そこで今回は、パリーグ6球団の昨シーズン成績をこねくり回して、筆者が勝手に導き出した興味深いデータをもとに、我らがマリーンズの“不安要素”を検証してみたい。

2015/02/20

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防御率は最下位。でも、QS率は上位の怪!!

 ここ数年のマリーンズが、先発ローテーションの慢性的なコマ不足に悩まされていることは、熱心にペナントレースを追いかけてきたファンなら、誰もが同意するところ。にもかかわらず、成瀬善久という絶対的エースの抜けた穴を埋める先発候補に挙がっているともれ伝わってくるのが、現状ではDeNAを戦力外となった1軍未勝利のチェン・グァンユウぐらいと聞けば、どうしたって「今年も無理っぽいなぁ」などと、自虐的なことを口走りたくもなってしまうことだろう。
 
 とは言え、現有の戦力で戦わざるを得ない以上、そんなことを言っても始まらない。ここでは、成瀬の穴を、くだんのチェンや、新戦力のイ・デウン、絶賛正念場な大嶺祐太、木村優太あたりが数人がかりで埋めてくれることを前提として(あくまでも希望的観測だ!)、論を展開していきたい。
 
 そもそも、同じように”コマ不足”が叫ばれていた、昨シーズンのマリーンズ先発陣がどうだったかと言えば、規定投球回に到達したのが涌井秀章と石川歩の2人だけで、2ケタ勝利は石川のみ。チーム防御率に至っては唯一の4点台となる、ぶっちぎりの最下位に甘んじてしまったのだから、シーズンを見届けたファンの実感からしても、「よくやった」とはお世辞にも言いがたい。
 
「マリーンズというチームに必要なもの」を訊かれれば、名だたる評論家のみなさんは十中八九、「先発のコマ不足の解消」を目下の課題に挙げることだろう。
 
 だが、ここで注目してほしいのは、先発投手の安定感を示す数値としてメジャーリーグでは、すでに広く浸透しているQS(クオリティ・スタート)率と、そこから導きだした勝率だ。
 
 下の表からもわかるように、QS率そのものは、50%以下ながらリーグ3位と、そう悪くはないうえに、QSに成功した時、つまり先発が6回以上を投げて3失点以下に抑えた時の勝率も、ソフトバンクにつぐ71.0%で、リーグ2位。「頼りない」と思われがちな、我がマリーンズ投手陣も、こと先発がきっちり仕事をした試合に関しては、他球団とも互角か、それ以上の戦いができていたことになるわけだ。
 
 では、Aクラスの上位3チームと、マリーンズとの間に生じた、決定的な差とは何だったのか。その答えを解くカギとなるのが、QSに失敗したときの”負け率”とでも呼ぶべきデータ。言わば、”先発が壊した”試合を立て直せないまま、ズルズル行ってしまう確率を数値化したものだ(同・下表参照)。
 
 これを見れば、先発が試合を作れなかった時のマリーンズが、いかに際立って弱かったかが一目瞭然。中継ぎ投手陣の盤石ぶりが光った首位のオリックスの38.2%と比べても、単純計算で1.5倍以上も勝ちを逃す確率が高かったとなれば、そりゃあオールスター前に自力Vが消滅してしまうのも無理はない。
 
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