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1軍の舞台を目指して、大木貴将が駆ける夏【マリーンズドキュメント】

千葉ロッテマリーンズの大木貴将は、進退をかけた2015年のドラフトでNPBへの切符を掴んだ。2シーズン目を迎え、1軍昇格に向けて汗を流す日々が続いている。

2017/07/06

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千葉ロッテマリーンズ



しっかり数字残して、今年中には1軍に

 あれから約1年、2017年はひたすら1軍を目指す日々だ。現在も2軍生活が続いているが、内野手登録ながら二塁手と遊撃手と外野全てを経験して出場機会を増やしている。
 
 去年は非力な部分が目立ったという打撃が主な課題で、イースタン・リーグ3位の盗塁数もまだまだ上を目指す。1軍経験豊富な荻野貴司や岡田幸文が2軍にいた時期には、走塁の構えやリードの大きさを見て学び、自ら質問するなど試行錯誤を続けていた。
 
 ふと振り返ると、少し前まで遠く思えていた場所に今の自分は立っている。新鮮な気持ちが色褪せないのは、独立リーグ時代の経験があったからだ。
 
 当時は、野球を上達させるためだけに時間を使えたわけではなかった。試合のない時期は午前に練習し、午後は衣類を取り扱う倉庫作業など複数のアルバイトをして生活していた。それでも熱意が揺らぐことはなかったし、NPBの球団と対戦をしたとき、自分の夢が膨らんだ感覚を大木は鮮明に覚えている。
 
「これがプロの打球か」とグラウンドから見上げたのは、後に同じユニフォームを着ることになる、清田育宏と井上晴哉の本塁打が描く放物線だった。
 
「(支配下登録されて)頑張れば1軍に行ける状況になったことで、いつ呼ばれてもいいように準備する意識は強くなりました。打撃はまだまだ物足りないですし、まずは2軍でしっかり数字を残さないといけないので、ひとつひとつの精度を上げていきたいです。どこを守りたいというよりも、とにかく試合に出たい。どこでも守れるように練習をして、1軍でも使いやすいと思われる選手になりたいです。今年中に、絶対に1軍に行きます」
 
 きっと今年の夏も暑くなる。酷暑の汗を拭いながら、目下に広がるのは二度とやってこない景色ばかりだ。ひたむきに駆ける大木の背中を追うように、情景は色を変え続ける。あの日途絶えることなく続いた野球人生には、まだまだ素晴らしい瞬間が待っていると信じて。

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