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北海道日本ハム・栗山監督が語る “渋沢栄一”流、理想の選手像・チーム作りとは

昭和時代の経済の基礎を創った人物・渋沢栄一の考えをチーム作りや選手育成に活かしているという北海道日本ハム・栗山監督。歴史上の人物の哲学がどのように「野球」にも通ずるのだろうか?

2015/02/15

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選手に渋沢栄一の本を薦めていた栗山監督

 2月12日、北海道日本ハムファイターズ・栗山英樹監督と作家・イラストレーターの田中渉(たなか・わたる)氏が渋沢栄一について語るという異色の対談が、ファイターズのキャンプ地・名護で行われた。
 
 渋沢栄一は富岡製糸所、理化学研究所、東京電力、東京ガス、帝国ホテルなど500もの会社を立ち上げ、600ほどの施設の創設に深く関わり昭和時代の経済の基礎を創った人物。
 栗山監督は、昨年2014年の新人全8選手が1年目のシーズンを終えたオフに、渋沢栄一の著書『論語と算盤(ろんごとそろばん)』を課題図書として手渡すなど渋沢栄一の哲学を好んでいる。
 
 一方、田中氏は高校生が幕末にタイムスリップし渋沢栄一の考えを学び、現代に戻って起業家として活躍するという経済エンタメ小説『渋沢栄一の経営教室 Sクラス』(香取俊介・田中渉著/日本経済新聞出版社)を共著。その後栗山監督の渋沢栄一に対する考えに関心を持ち、直接お話を伺いたいとキャンプ地の訪問を行うこととしたそうだ。当日は田中さんから栗山監督に、渋沢栄一に関する様々な質問が投げかけられた。
 
 なぜ栗山監督は、渋沢栄一の考えを好むようになったのだろうか。
 
栗山監督「人のために尽くすこととお金を稼ぐことって、一見対極にありそうじゃないですか。ただ野球選手は人間として成長しなきゃ、絶対に選手としても成長出来ないと前々から感じていて、(他人の富のために自分の持てる力の全てを尽くした渋沢栄一のように)経営でもそれが両立出来るなら、スポーツも絶対そうなのではないかと思わせられたのがきっかけです」
 
 今年2年目を迎える2014年の新人全8選手の他にも、田中賢介や大谷翔平など、かねてより選手達には渋沢栄一の本『論語と算盤』を薦めていたという。
 
栗山監督「今選手達に渋沢栄一の本を渡しているのは、いつかこんな考えがあったなと思い出してくれるといいなという思いです。今感想を聞いても、うーんまだ若い選手には難しいかという感じで…現代からタイムスリップしちゃうっていう小説(『渋沢栄一の経営教室 Sクラス』)だとわかりやすいですよね。ひょっとしたらこれだったら選手もわかるかもしれないな、と(笑)。これまで渋沢栄一に一番食いついてきたのは(田中)賢介で、2012年、優勝した時に賢介に5、6冊本を渡した中で、一番渋沢栄一の本に反応したんです。また賢介には色んな本を渡すねという話をこの前もしていたんですが。
 渋沢栄一は最初農民だったのが、生き方や発想自体も日々変化・進化していって、これだけ日本に多くの会社を作っていったわけですよね。若い頃からあれだけ世の中に尽くせるという、そんなプレーヤーを育ててみたいという想いはありますね」

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