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再びあの場所へ。抑えの魅力に取り憑かれた男、日ハム・増井。意識の変化が生んだ新たな“投手像”

昨季後半、先発としてチームを支えた北海道日本ハムファイターズの増井浩俊。今季は自ら志願し、再びクローザーに戻ってきた。昨季の不調を生かし、ニュースタイルを身に着けたからこその変化がある。

2017/05/15

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新たなスタイル発見で生まれた変化

 先発では長いイニングを投げなければならない。そのためには、ストライク先行で投げることが必要だし、クローザーの時のように、ストレートとフォークだけではゲームを作ることができない。初球からストライクゾーンに投げ込むことや、カーブ、スライダーを多投することで、増井のピッチング自体が大きく変わったのである。
 
 シーズン初頭、増井が自身の中にある変化をこう口にしている。
 
「例えばカーブは、自分の中でめちゃくちゃ自信がないボールでした。でも、先発で投げるなかでは必要だった。(カーブは)全ての力を使うと投げられない球種であるので、意識が変わりました。結局、常に全力で投げようとしていたからうまくいかなかったし、力を抜くことによって変わったんだと思います。そこを気付かせてもらえたのは大きかったと思います」
 
 いわば、今季になってクローザーに復帰した増井は、外から見れば、配置転換の中での“返り咲き”だが、ピッチングの中身だけを取ってみると、新たなスタイルを身につけているのだ。先発の時に比べて、カーブやスライダーの比率は高くないが、増井の中で、新たな投手像が生まれている。
 
 増井は言う。
 
「自分的には先発をやる前にクローザーをやっていた時よりは、カーブ、スライダーを使えているので、手応えは感じていますね。確かに、先発の時に比べれば、カーブ、スライダーの割合は少ないですけど、不意にみせることで嫌な球になっていると思うし、ピッチングの幅は広くなっている。また、先発をやって、すべてを全力でいくのではなく、リリースの瞬間に力を持っていく感覚を掴むことができた。そのことで、コントロールにも繋がっていると思います」
 
 日本ハムの試合の最後を締めるマウンドに立つ背番号「19」は見慣れた光景だ。
 
 しかし、それは、2016年の不調からの返り咲きなどではない。
 
 クローザーとしての新たなスタイルを身につけたからこその変化した姿だ。
 
「いまはすごく充実していますね。自分が求めてクローザーをやりたいと言って、やれていますからね。その中で結果も出ているので、気持ちよく毎日を過ごせています」
 
 6試合連続無失点と好調をキープ。チームが5位に低迷している分、セーブ数はまだ多くないが、5月に入って9勝2敗と不調を脱したチームの中にあって、クローザー・増井の存在はやはり大きい。

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