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圧倒的守備力の巨人・坂本、4割打者の日ハム・近藤が選出【データで選出3・4月月間MVP】

5月9日、2017年3・4月度の日本生命月間MVPが発表され、パ・リーグからは投手で金子千尋、野手でT-岡田(いずれもオリックス)が、セ・リーグからは投手でランディ・メッセンジャー(阪神)、野手で大島洋平(中日)が選ばれた。この表彰は、NPBが表彰タイトルを設けている打率や本塁打、勝利数や防御率といった馴染みのある数字を下地に選手の貢献を計って行っているとみられるが、今回はそれとは別の角度から、同期間における優秀選手を選出してみたい。

2017/05/15

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混戦模様だった投手陣。数字の積み上げ方には個性が


 次に投手を見ていく。投手のWARは、奪三振、与四死球、被本塁打、またゴロかフライかライナーかといった打たれた打球の種別、また稼働量としての投球回などから算出する推定失点率tRA(true Run Average)をベースとしている。
 
 実際の失点などは用いていないが、月間MVPと同じく、金子とメッセンジャーがWARでもトップとなっていた。2位以下も両リーグともに僅差で、上位勢にはほぼ差がない。ただし、数字の積み上げ方については、各投手の間で個性が見られる。
 
 奪三振を重ね数字を稼いでいったのが、千賀滉大(ソフトバンク)、菊池雄星(西武)、則本昂大(楽天)、メッセンジャーといったところとなる。打席に占める奪三振の割合はそれぞれ32.8%、26.8%、27.8%、27.6%と、20%付近で推移する平均値を大きく上回っている。
 
 ブライアン・ウルフ(西武)は四球を出さず、またゴロを打たせる投球が光りWARを伸ばした。打球に占めるゴロの割合を表すGB%(ゴロ率)は67.3%に達し、50%付近で推移する平均値を大きく上回っていた。
 
 秋山拓巳(阪神)も四球が抜群に少なく、打球もゴロになりがちだった。投球回が伸ばせていないためWARも伸びきらず、勝ち星は1勝に終わったものの、投球内容そのものは素晴らしいものだったといえる。
 
 各要素のバランスでWARを伸ばしたとみられるのが、金子、菅野智之(巨人)、小川泰弘(ヤクルト)、岡田明丈(広島)などだ。
 
 金子の数字は一見するとそこまで優れているようには見えない。三振を多く奪っているわけでもなく、四球も10投手の中で2番目に多いペースで与えていた。打球もずば抜けてゴロになっていたわけではない。にもかかわらず投球内容を表すtRAが低く抑えられているのは、投手が重い責任を負う被本塁打を1本に抑えてみせたことなどが影響している。上位を争った千賀、菊池はそれぞれ3本塁打を浴びていた。
 
 また投球回37は菊池と並ぶトップタイで長くマウンドに立ちつづけた。投球の質では千賀や則本に劣っていたものの、量の部分で上回りWARでの高評価を獲得していた。
 
 今回名前が挙がった選手は、当面はリーグ内のパワーバランスにおいて大きな影響力を持つと思われる。極度の不振に陥ったり、故障で離脱するようなことがあれば、順位にも直接的に影響が出てくるはずだ。

 
 
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