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ドラゴンズ投手王国再建へ先発争い あの快投を再び!未完の大器・伊藤の逆襲なるか?

大野、山井のあとに続く先発陣が、ドラゴンズの課題である。復活を期す吉見、ベテランの山本昌、朝倉、ルーキー、新外国人……いやいや、ドラゴンズファンとしては、永遠のエース候補・伊藤の奮起に期待したい。

2015/02/09

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伊藤準規がエースとして羽ばたく姿を見たい

 2位でクライマックスシリーズに進出したドラゴンズだったが、エースの吉見はシーズン終盤に故障、貴重な左腕として活躍していたソトも戦線離脱。ファーストステージでは、食らいついてくるヤクルト相手に中田賢一、山内壮馬、山本昌を繰り出してなんとか振り払う。なかでも第3戦は山本昌に川上、山井、浅尾拓也という特攻継投がブランコの逆転満塁ホームランを呼び込んで勝利したが、多くのドラゴンズファンは高木守道監督に「それ、10.8でやっとけよ!」と心の中でツッコミを入れた。
 
 いよいよセカンドステージの巨人戦に先発させる投手が、完全に底をついてしまった。老将・高木監督は自虐発言を繰り返すのみ。ファンが不安を募らせる中で、送り出されたのが、前年、デビュー戦で巨人に滅多打ちにされたプロ2年目の大野雄大、そして故障明けの伊藤準規だったのである。
 
 大野は巨人打線相手に5回をなんとか1失点でしのぎ、田島慎二、浅尾、山井の継投で勝利。ブルペン陣の負担もピークに達したところで第2戦に登板した伊藤準規は、薄目がちに恐々見ていたファンをよそに7回2/3を7奪三振、2失点の快投を見せ、見事に巨人を撃破した。
 
 このとき、きらめくドラゴンズの未来が見えた。ああ、吉見とチェンがいなくても、大野と伊藤のニューダブルエースで、あと10年は戦える……。
 第3戦は山本昌が勝利。若手と超ベテランの力ががっちり噛み合って強敵・巨人に3連勝! 日本シリーズに王手をかけた! ここから先の記憶はない。
 
 2013年、伊藤準規は右肘靭帯損傷という重傷を負い、手術で丸1年シーズンを棒に振った。同じく故障の連続で現役生活を終えた、悲運のエース(未遂)・中里篤史と伊藤を重ねて見るネガティブなドラゴンズファンも少なからずいる。
 
 2014年は怒涛の敗戦を重ねた8月を終え、ファンがガックリきていた後半戦から登場、勝ち星には恵まれなかったものの、さりげなく好投を重ねて復活への兆しを見せた。
 
 そして時はめぐって2015年の春。ブルペンを見た谷繁元信監督兼選手は、「吉見と準規がよかった」との言葉を残した。いよいよ伊藤準規の年がやってくる。背番号65の逆襲が始まる。そんな予感を漂わせる、重みのある一言だ。
 
 森繁和ヘッドコーチの先発投手構想では7番目の男。はっきり言って計算のうちに入っていないも同然である。
 
 しかし、ドラゴンズファンが見たいのは、伊藤準規がエースとして羽ばたく姿だ。
 
 ローテの軸として1年間働いてくれれば、投手陣の台所はずいぶん楽になる。また、働かなければいけない年でもある。ルーキーと故障明けと戦力外(八木には失礼な物言いだが)に頼っていてはいけないのだ。伊藤準規と支配下登録間近の岸魔神こと岸本淳希のダブルジュンキの揃い踏みも見てみたい。
 
 あのとき目にした大野と伊藤のダブルエースが2枚の大きな翼になれば、ドラゴンズはいよいよ浮上するはず。

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