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「周りを見て焦るな」。虎視眈々と出番を待つルーキー左腕・土肥星也、恩師の言葉を胸に【マリーンズ浦和ファーム通信#40】

佐々木千隼、酒居知史、有吉優樹ら同期入団のルーキーが一軍で奮闘する中、二軍でチャンス到来を待つ男がいる。社会人の名門・大阪ガスからドラフト4位で入団した土肥星也だ。

2017/04/27

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千葉ロッテマリーンズ



強いストレートを投げろ

 恩師の言葉も胸に刻んでいる。社会人1年目。投手コーチに成本年秀氏がいた。マリーンズで最優秀救援投手、タイガースではカムバック賞に輝き、その後はプロ野球でコーチとして活躍をした実績を誇る成本氏は若き左腕の素材を買ってくれた。1年目はベンチ入りもできず、投げる機会がなかったが、アドバイスを繰り返してくれた。
 
「強いストレートをストライクゾーンに投げられるようにしろ」
 
 指導は厳しかったが、いつもブルペンで見守ってくれるコーチの存在は頼もしかった。だから、言うとおりにストレートの強化に集中した。そのために、毎日、投げ込むことを課せられた。150球近く、とにかく毎日、投げた。ただ、ひたすらストレートだけを投げた。「18歳、19歳の時は走って下半身を強化しないとダメだ」。そう論され、いつもランニングメニューは先輩投手たちの2倍あった。
 
 特訓の成果は徐々に芽を出す。入社したころは140キロしか出なかったストレートは3年目には147キロを計測するようになっていた。なによりもスピード以上に自分の中で速球の威力を実感していた。打者から空振りをとれる。打たれてもファウルになる。打ち上がり浅いファウルとなる。今まで感じたことがなかったような自信が芽生えた。そして、そのボールはマリーンズのスカウトの目に留まった。
 
 粗削りな部分があったため、プロ入りに慎重論を説いてくれる人もいたが、1年でも早く目標としていた世界で勝負をしたかった。成本氏も「厳しい世界。それでもオマエが決めた道だ」とエールを送ってくれた。そして初めての春季キャンプに挑む上でのアドバイスをくれた。

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