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不振続く中島卓也。『鎌ヶ谷の野球の虫』へ原点回帰せよ【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#49】

らしくない戦いが続く昨年の王者・ファイターズ。中でも一番の心配は、中島卓也の状態だ。

2017/04/22

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今の状態を象徴するバント失敗

 これはたぶん北海道新聞のコラム読者には知られていることだが、今のファイターズで誰がいちばんひいきかと尋ねられたら、僕は一も二もなく「中島卓也」なのだ。鎌ヶ谷の頃から面白い選手だなぁと思っていた。
 
 五十嵐信一2軍監督の時代、杉谷拳士と中島卓也はものすごく目立つ存在だった。元気者の杉谷に対して、控えめだけど意思の強い中島。どちらも野球の虫という感じだった。五十嵐監督(当時。現スコアラー)も「二人のどっちが先に上で仕事できるようになるか、僕も楽しみです」と言っていた。
 
 それは中島が先だった。フレッシュな二塁手としてチャンスをつかみ、大引啓次の移籍後はショートの定位置を得る。堅実な守備とファウルで粘る「納豆打法」はパリーグの名物になった。
 
 何しろ僕は都バスに乗ったりするとき、ポールをバットに見立てて両手で持ち、左構えで1回沈むルーティンをいつもするくらいの卓也ファンだ。優先席付近で打席に立つことが多いが、1回沈むときおばあさんと目の高さが同じになり、お辞儀されたりしている。
 
 が、今シーズンは心配してるのだ。開幕からぜんぜん調子が上がらない。4月19日現在、打率は1割台を低迷し、すっかり精彩を欠いている。しかも、打てないだけじゃないのだ。
 
 一例を挙げると18日、静岡草薙のオリックス4回戦だ。スコア1対1で迎えた中盤5回裏、先頭の大野奨太の打球が2塁キャンバスに当たりイレギュラーするという、幸運なヒットで出塁する。こういうわずかなきっかけから得点を奪って、試合の主導権を握るのがファイターズ野球だ。無死1塁でバッターは9番中島、もちろん送りバントの場面だ。小技は中島の得意とするところ。
 
 それが送れないのだ。バントは転がらず、ホームベース付近で止まる。捕手・若月健矢がダッシュして2塁送球&封殺、得点圏に走者を進められなかったファイターズはこの回、無得点に終わる。
 
 ちなみにこの試合は8回裏(スコア1対2)、無死走者1塁の場面でも岸里亮佑が(ほぼ同じ形で)送りバントに失敗している。打線がつながらない以上、小技や足をからめて攻めるしかないのに「無死走者1塁」を二度フイにしたのは痛い。
 
 試合の流れを悪くしてしまった。ここ最近のファイターズはエラーや走塁ミス、バント失敗等で自ら流れを手放している。
 
 オリックス4回戦の二つのバント失敗のうち、まぁ、岸里はシンプルだ。「練習しろよ」である。バッティングに自信があるかもしれないが、1軍では送りバントを要求される場面がある。2軍のように打たせてはもらえない。
 
 2軍で中心打者を任されてようと何だろうと、1軍キャリアは脇役から始まるのだ。普段から練習しとくしかない。その積み重ねがいつか花を咲かせる。以上だ。
 
 が、中島卓也の場合は……。中島に「しっかりバントしろ」なんて言うのは、ニュアンス的には片平なぎさに「赤い霊柩車ちゃんとやれ」と言うのに等しい気がする。言うまでもなくやってるものだろう。やってないほうが驚く。
 
 中島は去年の夏場も打撃不振に陥った。ファウルで粘る「納豆打法」が評判になって、他球団に研究され、内角を攻められたりした。僕はファウルで粘ってばかりいなくてもいいんじゃないかなと思っていた。たまにはガツンと引っ張ってライトの頭を越してやれ。たまにやると「納豆打法」はすごく嫌がられる。いつもやってたら(カウントを追い込まれて)窮屈なだけだ。
 
 ひとつの技術の完成は次のイノベーションへ向かう道だ。「納豆打法」をアップデートしたらいいと思った。で、実際、中島はケースにより強打するようになっていった。

【次ページ】野球人としての試練

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shiro