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若鷹・上林誠知の“逆襲”。「絶対あいつらを追い越す」U-18での悔しさバネに世代の頂点へ

福岡ソフトバンクホークスの上林誠知外野手は今季、初めて開幕戦(対埼玉西武ライオンズ)でスタメン出場した。高校時代にはU-18日本代表入りも控え選手だった上林は、その悔しさが契機となり、今につながっている。

2017/04/12

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目標は「シーズン200安打」

 人生とは面白いものである。
 高校2年に甲子園デビューした上林は、当時の世代では森友哉と並んで高校野球のスターくらいの扱いを受ける選手だった。しかし、彼には試練が訪れ、それがいい契機になっているのだから。当時、上林が語っていた言葉も印象に残っている。
 
「僕がJapanでもそのまま活躍していたら、鼻が高くなってしまっていたように思います。そして、高校野球を引退した後に練習もせずにプロに行っていたんだろうなと。いまは悔しさがあるからしっかりと練習ができているので、あの経験は良かったのかなと。これからもいい時も悪い時も絶対にあると思うんですけど、それでも腐らずにやって、最後にはいい時を迎えられるようにしたいですね」
 
 実は昨季、開幕してからファームで29打席連続無安打のスランプに陥っている。
 高校3年の夏にあったような、まさに絶不調の時期だ。しかし、今は「悪いときはあるけど、ずっと同じということはない」と捉えられるようになっている。楽観視ではない。落ち込むことがなく努力を続けていれば道が拓けると、実体験で知っているのだ。
 
 今はまだレギュラーをつかめるかどうかの道中だ。
 週末の3試合がよかったからレギュラーを獲得できるわけではなく、工藤公康監督の大らかな抜擢でチャンスをもらえているというのが現状だ。
 
「軽く振って打球が飛ぶようになったというのが今の感覚にあります。まずはそれを続けていくこと。そして、出塁を増やしてきたいですね」
 
 そういってチームバスに乗り込んだ。
 将来的にはトリプルスリーなども視野に入ってくるような選手だ。本人は「シーズン200安打」が目標の一つにあるとも語っていた。
 
 あの屈辱から4年。
 くしくも、田口を除いて当時の多くのメンバーがパ・リーグに固まっている。
 彼にとっては人生のいいめぐりあわせと言えるだろう。
 
 上林が同世代の頂点に立つ日は来るか。そのための第一歩としてレギュラーをつかみ取らなければならない。

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