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2月1日から紅白戦!? 6勤1休……落合式から考える『春季キャンプ』の意味【横尾弘一「野球のミカタ」】

キャンプイン前日となった。そもそも春季キャンプとは何のためにあるのだろうか。当時、中日ドラゴンズの監督だった落合博満GMは、就任1年目、2月1日のキャンプ初日に紅白戦を実施して、大きな注目を浴びた。(2015年1月31日配信分、再掲載)

2015/01/31

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春季キャンプの内容から順位が予測できる!?

 ちなみに、この年の中日キャンプは6勤1休だった。4勤1休が多い中、「はじめからそんなに飛ばしたら選手が壊れる」と懸念した評論家もいたが、落合はこう言って笑い飛ばした。
 
「ペナントレースで一番多いのは、火曜から3連戦、3連戦と日曜まで戦って、月曜に休む日程でしょう。だから、キャンプも6日練習して毎週月曜が休みというのが理に適っているんじゃない。すべてはペナントレースを戦う準備。体内時計も合わせていかなくちゃ」
 
 また、練習量の凄まじさも話題となったが、夕食後などに夜間練習を行うことは一度もなかった。
 
「人間は、スケジュールを示されたら、何とかそれをこなそうと頭と体で考える。夜間練習があると思えば、どうしても昼間の練習で体力を温存しようという本能が働くものなんだ。夜のために昼をセーブしたら本末転倒でしょう。それに、夕食後に練習すると考えたら、どうしても食事を満足に摂らなくなる。しっかり食べることも練習なのだから、やはり夜間練習にメリットはない。朝グラウンドに来たら、自分が納得するまで練習して、宿舎に帰ったら食事してバタンキューでいいと思う」
 
 そして、ベテランや主力にはメニューを示さず、自分のペースでやりたい練習に取り組めばいいとした。それは、「あんな練習をさせられたから故障した」という甘えを封じ、プロ野球選手という商品の管理を自分自身の責任と強調したのだ。こうした方針は「これだけやったのだから勝てる」という自信と、「ここまでやって負けたくない」という粘り強さをチームに植えつけた。
 
「当時のチームには、それが必要だからやっただけ。その時のチーム、選手の状況によっていろいろな方法論があると思う。キャンプをイメージ通りに終えることができれば、監督の仕事は8割方終わったも同然。しっかりした青写真を作って臨み、多少の修正を加える。それが監督にとってのキャンプなんだ」
 
 春のキャンプを社会人や大学の指導者が見学すると、その球団のおおよその順位がわかるという。新外国人のパワフルなバッティング、エースのブルペンにワクワクするのも楽しいと思うが、実は練習時間の長さ、内容の濃さが順位に直結したり、ウォーミングアップする選手の姿の違いにチーム力の差が見えたりする。
 
 春季キャンプとは、目の肥えたファンにこそ、たまらない時間ではないかと思う。
 
落合博満が”打席でバットを振らなかった理由”。落合流オープン戦の考え方【横尾弘一「野球のミカタ」】

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