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侍Jキューバ戦は課題山積、継投も疑問。オーストラリア戦はどう戦うべきか?【小宮山悟の眼】

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕した。初戦のキューバ戦、侍Jは11-6と快勝したが野球評論家の小宮山悟氏はこの試合をどう分析するのか。

2017/03/08

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功を奏した石川の慎重なピッチング

 初戦を11-6で勝利した。全く予想していない展開での勝利に少し驚いている。キューバチームのピッチングスタッフは、私のイメージとは異なっていた。今大会に関しては、少しレベルの落ちるメンバーという印象だ。
 
 とはいえ、初戦という緊張感の中、先発した石川歩のピッチングは素晴らしかった。1回表のキューバの攻撃を無失点に切り抜けたことがこの試合の流れを大きく作ったといっても過言ではない。
 
 確かに、1回に23球を投じるなど球数は費やした。しかし、石川は球数を掛けてでも先制点を与えないよう本当に慎重に投げていた。あの場面でもし先制されていたら重い空気になっていたはずだ。ここをしのいだのは大きい。
 
 実際、石川からしてみれば、嫌な場面ではあったと思う。不運な当たりで2人の走者を出し、セペダを迎えて、次にはデスパイネが控えている。チームメイトとして知っているからやりづらさもあったはずだ。必要以上にプレッシャーが掛かっただろう。
 
 その中でセペダをゴロで打ち取れたのは大きかった。セカンド・菊池の好プレーとの声もあるが、彼からすれば普通のプレー。あれを好プレーとしてはむしろ彼に失礼。
 
 続く4番のデスパイネは四球で歩かせたが、難しさもあった。あの場面で一番かけていけない言葉は「1塁が空いているから無理をしないように」だ。「カウントが悪くなったら歩かせる」「歩かせるなら、割り切って歩かせろ」「勝負するなら勝負することを決めろ」という考え方なのだが、このときの石川はしっかり勝負しにいっていた。
 
 きわどいコースで攻めるピッチングで、ボール球に手を出してくれることを前提にしての勝負だった。四球ではあったがしっかりと腕が振れており、次の打者を抑えられたことにもつながった。

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