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“大谷騒動”で見えた侍Jの組織的弱さ。サッカーに学び真の代表強化を【小宮山悟の眼】

ワールド・ベースボール・クラシックのメンバーから大谷翔平が外れたのは記憶に新しい。しかし、辞退報道を巡ってはやや不可解な部分があった。指揮を執る小久保裕紀監督がその事実を把握していなかったのだ。なぜ、このような事態が起きたのか。その裏に何があったのかを小宮山悟氏が解説する。

2017/02/20

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野球の日本代表は扱いが軽い?

 代表チームというとサッカーと比較されるが、選手選考のルールが基本的には異なる。サッカーは代表メンバーに関しては監督がすべて発表する。クラブ側が選手のコンディションがベストではないと考えたならば、その旨を事前に代表スタッフに伝える。代表メンバー発表後であれば、代表側(日本サッカー協会)からオフィシャルな辞退内容が発表される。クラブが先行して辞退を発表することはあり得ない。
 
 危機管理という言葉を使うと、少し大げさに聞こえるかもしれない。だが、今回のことは誰しもが納得する形で進めていかないと分かっているなかで、起こってしまった。
 
 つまり、まだ野球の日本代表は扱いが軽いということだろう。代表はそんな扱いなんだという印象を与えてしまったのは非常に残念だ。
 
 野球はWBCができても、まだ窓口がはっきりしない形で動いていたのは事実。それが3年前に「NPBエンタープライズ」という会社組織ができて、各カテゴリーが統一のユニフォームを着ることになった。でも、まだ3年しか経っていないので、完璧にすべてをこなすことが難しいのではないか。
 
 野球界もサッカー界のようになっていくことが必要かもしれないが、それを実現していくためには時間が必要だ。サッカー日本代表と野球の日本代表では歴史の古さが違い、サッカーの方が一歩も二歩も先をいっている。少しずつ変えていくしかない。今回の“大谷騒動”を教訓とし、日本の“代表”として進化しなくてはならない。
 
小宮山悟(こみやま・さとる)
 
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。

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