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巨人のユニフォームサプライヤーがアンダーアーマーに変更。新興ブランドが伝統チームと手を結ぶ大きなメリット

今季から巨人のユニフォームサプライヤーのメーカーが、アディダスからアンダーアーマーに変更となる。

2015/01/18

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一流アスリート、トップチームへのウェア提供で認知度を高める

 カテゴリー別にみても、「アンダーウェア(コンプレッション系)」ではここ数年シェア1位をキープしており、また「トレーニングウェア(競技横断的に着用される汎用ウェア)」ではシェア2位となっており、2012年度の5位、2013年度の4位から飛躍的に伸びている。その他、「野球」「サッカー」のカテゴリーでもシェアを伸ばしており、2013年から「フィットネス」2014年から「バスケットボール」にも新規参入するなど展開カテゴリーを拡大している。
 
 日本参入当初は、ウェアの他にバッグや小物などのアクセサリー関連を手がけている印象であったが、中学・高校の部活動生に急速に浸透しはじめ、そのブランドロイヤリティの向上をテコに、シューズなどの分野にも本格的に参入している。シューズのシェアはまだ小さいが、「野球」のほか、2011年から「ランニング」「バスケットボール」、2013年から「サッカー」など部活動人口の多いカテゴリーで取り扱いを始めている。特に、ジャイアンツと契約した「野球」に関しては、アパレル、シューズの他にギア(グラブ)にも参入しており、強化カテゴリーの一つと捉えているようだ。
 
 2013年10月には直営店を渋谷と原宿に同時出店して、やはり世の中を驚かせた。特に渋谷店に関しては、アディダスの直営店の目の前というロケーションへの進出である。

アンダーアーマーが巨人と契約するメリット

 メーカーにとって、今回のように特定のチームとのユニフォームサプライヤー契約を交わす事にはいくつかのメリットが考えられる。
 
1.レプリカユニフォームの収益
 コアなファンは毎年そのシーズンのレプリカユニフォームを購入する。ジャイアンツほどのメガチームであれば、多くのマーク付きのレプリカユニフォームが売れることは間違いない。
 
2.広告効果
 2014年のユニフォームを見てみると、ホームのユニフォームにメーカー名が入っているチームは3チームあった。ジャイアンツがアディダス、ライオンズがナイキ、そしてスワローズがゼットだ。
 
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「RIGHT STUFF調べ」
 
 なぜ、マークが入っているチームと入ってないチームがあるのか?そもそも、我が国のプロ野球でユニフォームに広告を載せられるようになったのは、2000年の話である。ただし、1チーム1個の広告しか載せられない。さらに、パリーグはホームもビジターも載せられるが、セリーグはホーム用ユニフォームのみに付けられる。メーカーのロゴマークも「広告」に含まれる。メーカー側からすれば、ユニフォームを提供するだけでなく、広告費をプラスしてロゴ掲載が可能なのだ。球団側からすれば、別の企業がユニフォームに広告を入れたいと言われれば、よりお金を取れる可能性がある。
 
3.ブランド認知度の向上
 アンダーアーマーは日本進出当時より、一流アスリートへのウェア提供で、その認知度を徐々に高めてきた。2009年からはサッカーJリーグの大宮アルディージャのユニフォームサプライヤーとなっている。先ほど、アンダーアーマーの一般の人の認知度が21.5%というデータを紹介したが、レピュコムジャパンの同じ調査では、大宮アルディージャサポーターにおけるブランド認知度は、37.3%となっており、アルディージャサポーターはよりブランドを認知しているという結果になっている。
 
 アンダーアーマーは、日本においてはまだまだ認知度の低いブランドである。全国的なブランドであるジャイアンツとの契約はこのブランド認知度の向上に大きく貢献すると思われる。一方で、前提供者であった、アディダスのブランド認知度は全体でみても85.4%なので、このメリットは少ない。アディダス=野球というイメージもだいぶ浸透した今、ジャイアンツにこだわる必要性は薄れてきたのは間違いない。
 
4.ブランドイメージの向上
 レピュコムの調査によれば、ジャイアンツに対するイメージは「伝統的」「洗練された」「一流」「国際的な」という項目で全球団中1位になっている。このジャイアンツが持っているブランドイメージをうまく利用して、アンダーアーマーもこれらの項目でのブランドイメージの向上に努めることができる。
 
 これらを総合して、新興のブランドであるアンダーアーマーがジャイアンツと契約したメリットは大きい。今後のアンダーアーマーの動向に注目だ。

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