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ヤクルトでは由規以来の160キロも!? 新たな「ロケットボーイズ」誕生なるか。ドラ2・星に膨らむ夢【2017年ブレイク期待の選手】

今シーズンの巻き返しに向け、投手陣の再建を目指す東京ヤクルトスワローズに加わった5人の新人投手。その中でも明大からドラフト2位で入団した星知弥には、これまでチームにほとんどいなかった速球派として、大きな期待がかかる。

2017/02/06

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平井とのコンビで「ロケットボーイズ」の再現も?

 その星がヤクルトナインに強烈な印象を残したのが、昨年11月5日に開催された明治神宮外苑創建90周年記念奉納試合だ。この試合に六大学選抜の先発としてマウンドに上がると、ほぼベストメンバーが並んだヤクルト打線を相手に2回を投げ、許した走者は内野安打の1人だけ。四番の山田哲人に対しては全球ストレートで真っ向勝負を挑み、見事に空振り三振を奪った。
 
 もちろんシーズン終了から1カ月あまりが経っていたヤクルトの選手と、直後に明治神宮大会を控えていた星とでは、コンディションという点で違いがあったはずだ。それでもヤクルトの真中満監督が「ボールも強いし、低めにしっかりコントロールできていた。本当に楽しみです」と早くも期待感を口にするなど、ストレートを主体としたそのピッチングにはインパクトがあった。
 
 これまで150キロを超えるストレートを投げる投手がほとんどいなかったヤクルトにとって、星のようなパワーピッチャーの加入は実に心強い。起用法に関して、真中監督はキャンプ、オープン戦で見極めていく考えを示しているが、もし星抜きでも先発ローテーションが組めるようなら、やはりブルペンで見てみたい。
 
 奉納試合でその投球を目の当たりにして「あのパワーピッチングなら、中継ぎでショートイニングのほうがいいんじゃないですかね」と私見を口にしたのは捕手の中村悠平だが、確かにそのストレートは短いイニングでバンバン投げるほうが生きてきそうだ。星自身は球速を追い求めているわけではないというものの、ヤクルトの日本人投手では2010年の由規(161キロ)しか投げたことのない160キロへの夢も膨らむ。
 
 かつてヤクルトには石井弘寿(現投手コーチ)と五十嵐亮太(現福岡ソフトバンクホークス)という左右の豪腕リリーバーがいて、その球の速さから「ロケットボーイズ」の異名を取った。昨年は右肩手術から復活した平井諒が150キロを超えるストレートを連発したが、星も同じ右投手とはいえ、2人がかつての「ロケットボーイズ」のように相手を力でねじ伏せるようなピッチングでゲーム終盤を担うことができれば、昨年は成しえなかった「勝利の方程式」の構築も見えてくる。
 
 まだキャンプも始まったばかりではあるが、そんな期待まで抱かせてくれるルーキー。それが星知弥である。

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