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〝投手を育てる土壌がある〟OB・選手が語る、パリーグの強さの秘密

この5年でセリーグのチームが日本一になったのは2012年の巨人だけ。交流戦もここ数年は拮抗しつつあるが、通算でみればまだまだパリーグが圧倒している。今オフも大物選手が相次いでパリーグに復帰。また有原、安楽、髙橋光など昨年ドラフト注目の投手は、みなパリーグに入団した。力のある選手との対戦が、自身のレベルアップに、やがてはチーム、そしてリーグのレベルアップにつながっている。

2015/01/10

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DHのないセリーグ。熾烈なペナント争いがレベルアップにつながるのでは?

 実際、グラウンドでプレーしている選手たちはどのように感じているのだろうか。日本ハムの木佐貫洋は以前、こんなことを言っていた。木佐貫は2002年に自由獲得枠で巨人に入団し、09年オフにオリックスにトレード。そして13年から日本ハムでプレーしている。
 
「巨人でプレーして頃は、パリーグの選手はスイングが速いし、力強いなと感じていました。実際にパリーグに移籍して感じたのは、うまさでした。最初はうまくかわせばなんとかなると思っていたのですが、それが通用しない。結局、力勝負でいかないと抑えられないんです。ちょうどその頃、パリーグには和田毅、杉内俊哉、ダルビッシュ有、岩隈久志、田中将大……など、球界を代表するような投手が揃っていました。そうした投手との対戦を重ねることで、打者のレベルが上がっているんだと感じました」
 
 選手たちがしのぎを削りあう。つまり、パリーグ全体のレベルアップを意味する。
 ここ数年のパリーグの順位変動はまさに、それを物語っている。
 
 木佐貫が挙げた投手たちは、今はパリーグにいない。それでも昨年沢村賞の金子や、日本人投手最速をマークした大谷翔平、日本シリーズで好投した武田翔太、他にも松井裕樹など逸材は多い。さらに9年ぶりに日本球界復帰を果たした松坂もいる。2014年ドラフトの中心だった有原航平や安楽智大、髙橋光成などもいる。今季もますます投手と打者の激しい戦いが繰り広げられそうだ。
 
 もちろん、セリーグも実力のある投手はズラリと揃う。冒頭に述べたように、黒田が復帰したカープは前田健太とのWエースで優勝を十分に狙える位置にあるし、阪神も鳥谷残留で大幅な戦力ダウンを免れた。藤浪晋太郎のさらなる進化が楽しみだ。ヤクルトはFAでロッテのエースの成瀬善久を獲得した。最下位からの巻き返しが期待される。中日にも大野雄大、DeNAも井納翔一ら若手選手が伸びてチームの顔になりつつあり、2015年も混セが予想される。そして巨人は実績のある投手が並ぶ中で、菅野智之や小山雄輝という次世代の投手が出てきた。このようにセリーグでも、昨シーズン以上に投手と打者の見応えのある対決が見られるはずだ。
 
 特にセリーグの場合は、これまで戦力が整っている球団とそうでない球団でAクラス、Bクラスが早々と決まっていた。優勝争いが最後までもつれることで、選手そしてチーム、さらにはリーグ全体のレベルアップにつながっていくのではないだろうか。セパ両リーグの一層のレベルアップをファンとしては願ってやまない。

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