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セリーグ新人王の阪神・髙山俊、1年目からなぜプロに適応できたのか。大学時代から見せていた打棒の秘訣

28日、セリーグ・新人王に阪神の髙山俊が選ばれた。明大時代にリーグ安打記録を樹立するなど注目打者ではあったが、髙山がなぜ、プロに入ってもこれだけの成績を収めることができたのだろうか。

2016/11/28

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物おじしない性格は大学入学時から

 最後に取り上げたいのはメンタル面である。
 リーグ2位の得点圏打率をマークしたように勝負強さも髙山の大きな魅力である。注目度の高い阪神のルーキーでこれだけの成績を残すことができるのは並の精神力ではない。日大三高で3年夏に全国優勝を果たしているように大舞台での経験が豊富ということもあるが、当時は吉永健太朗(現JR東日本)、畔上翔(現Honda鈴鹿)、横尾俊建(現日本ハム)などに比べると目立つ選手ではなかった。
 
 注目され始めたのは大学1年春のリーグ戦でいきなり20安打を放ってからだが、シーズン終了後に選出された3年生以下の大学日本代表候補合宿での練習が強く印象に残っている。当時1年生で選ばれていたのは藤岡裕大(現トヨタ自動車)と髙山の二人だけだったのだが、バッティング練習では髙山が誰よりも強く全身を使ってフルスイングを繰り返していたのだ。かなり強引に振っているように見えたが、それでも伸び伸びと振る姿と打球の強さは誰よりも目立っていたことは間違いない。
 
 以前のインタビューで当時のことを本人に聞くと「相当負けず嫌いなのであの時は誰よりも打ってやろうという気持ちは強かったです」と答えていたが、先輩ばかりが集まる合宿の場で実際にそれを実行してみせるのはやはり並の選手ではない。このような気持ちを持っていることがプロの舞台でも物怖じせずにいきなり活躍できた大きな要因であることは間違いないだろう。
 
 今シーズンの活躍で来季は開幕から厳しいマークに合うことが予想される。
 しかし1年を通じて大きく成績を落とすことなく、8本のホームランのうち6本を7月以降に放つなどシーズン終盤にも活躍を見せたことは大きな自信となったはずだ。巻き返しを期す阪神にとって、来季も髙山にかかる期待と果たすべき役割はさらに大きなものになっていくだろう。

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