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田中賢介は、かつての庭で輝きを取り戻せるか?――〝守備〟の名手が〝守備〟に苦しんだアメリカでの2年

2015年シーズンは、メジャーリーグからの復帰組が多い。再び日本ハムをけん引する田中賢介はリーダーとして、安定した守備と巧みな打撃を期待されているが、名手としてアメリカに挑戦した田中にとって、まさかのその〝守備〟に苦しめられるとは思ってもみなかっただろう。

2015/01/05

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中島裕之とは真逆の結果に

 守備で思わぬつまずきを強いられたが、逆にバットでは存在感を発揮していた。1年目は3Aながら首位打者争いを繰り広げ、最終的にリーグ3位の打率.329をマーク。日本時代から定評のある選球眼で、36三振を上回る42四球を選び、出塁率は4割を記録した。サンプルは15試合と少ないが、メジャーでも打率.267で、出塁率.353と、十分合格レベルと言える数字は残していた。
 
 同じく2年間で米国を去った中島と比較してみよう。2Aも含めたマイナー2年間通算で打率.267。打者の総合的な能力を測る指標OPS(出塁率+長打率)は落第点の.682。対して田中は2年間通算で打率.302、OPSは.764と及第点に達する。日本時代とはまさに対照的な結果だった。強打をウリにした中島は打撃に苦しみ、堅実な守備が光っていた田中はバットだけは合格点だったのだ。
 苦悩の2年間を経て、日本ハム復帰を決断した田中は、自身のホームページにこうつづっている。
 
「この2年間、楽しい事もつらい事も色々ありましたが、自分の中では何事にもかえられない時間となったと思っています」
 
 日本の統一球への対応も、メジャー移籍時のハードルに比べたら低いだろう。本拠地・札幌ドームを中心とした人工芝の球場では、自慢のアジリティーをいかんなく発揮できるはずだ。海を渡っても打撃は決して錆び付くことはなかった。かつての好守さえ戻るならば。
 大物選手の国内復帰が相次いだ。その中で注目度は決して高くはない。だが、苦しみ抜いた2年間で田中賢介の看板が色あせたとは思わない。かつての庭で、再び輝きを放ったとしても、何ら不思議はない。

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