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辻内崇伸、ドラフト1位の肖像――1試合19奪三振を記録した05年夏「ホンマにあれ、奇跡なんですよ」【連載第2回】

かつて「ドラフト1位」でプロに入団した選手1人の野球人生をクローズアップする。華やかな世界として脚光を浴びる一方で、現役生活では「ドラフト1位」という肩書に苦悩し、厳しさも味わった。その選手にとって、果たしてプロ野球という世界はどのようなものだったのだろうか。(2016年10月23日配信分、再掲載)

2020/04/07

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夏の甲子園前、注目の投手に挙げられるまでに成長

 2005年、大阪桐蔭は大阪府大会を勝ち抜き、甲子園出場を決めている。
 大会前の朝日新聞は〈注目の投手〉という特集記事で、辻内の名前を真っ先に挙げている。
 
〈投手は大阪桐蔭の二枚看板が目を引く。最速150キロを超えるというエース辻内は183センチの大型左腕。右腕の中田は1年生ながら140キロ台後半の速球を武器とする。1日の甲子園練習では、その球威を披露し、スタンドを湧かせた〉(2005年8月2日付 朝日新聞)
 
 しかし、期待の大型左腕の甲子園初戦は苦いものとなった。
 被安打こそ5だったが、6つの四球を与えるという乱調ぶりだった。5回2死までに5点を失い、中田にマウンドを託している。試合は9対7で春日部共栄に辛勝した。
 
 辻内の本領が発揮されたのは、続く藤代戦だった。9回19奪三振を記録、1試合最多大会記録に並んだのだ。
 
 辻内はあの試合を振り返り、どうしてあれだけ三振がとれたのかわからないと首をひねる。
 
「相手の(バッターの)気持ちになったことがないからわからないんですけれど、なんであんな高めのクソボールを振るんですかね。なんで振ってくれるんやろな、ラッキーと思いながら投げてました。絶対に打たれないという自信? なかったです」
 
 さらに「絶対なかったです」と念を押した。
 
「ホンマにあれ、奇跡なんですよ」

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