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3つの球種を自在に操れる投手は、2ケタ勝てる!【元ロッテ・里崎智也が語るプロ野球選手論③】

全国のマリーンズファンに不定期でお届けしてきたこのコラムに、今年1年を締めくくるにふさわしい、あの大天使がいよいよ降臨。来季もきっと千葉ロッテマリーンズという球団のために一肌脱いでくれるであろう、我らが里崎智也の、よそでは読めない本音トークに刮目せよ!!

2014/12/30

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伸びた選手は、みんな自分から言ってきた!

──しかし、そんなオープンな姿勢の里崎さんも、現在の若手からしたら〝神の領域〟。実際問題、自分から意見を戦わせにいくなんてことは、しづらい部分もあったのでは?

里崎 何でも言うてこいって姿勢ではいたんですけどね。そりゃまぁ、キャッチャーのほうから歩み寄って話を聞くってことも必要だったのかもしれないですけど、何十人もいるピッチャー全員を1人でカバーするのは、物理的にもなかなか難しいですし、そこで言ってこないで損をするのは、他ならぬピッチャー自身でもある。こっちが知らないこと、わからないことは、どうがんばっても引き出してやれないわけですしね。それに実際、古谷(拓哉)や益田(直也)、西野(勇士)あたりは、僕んとこにも自分からよく来ていた。自己主張ができるやつは伸びるっていうのは、ここ数年で彼らが出した結果からも、如実に証明されていると思います。

──そう聞くと、一気に説得力が増しますね。逆に、過去に実績はあるのに、その後の成績が芳しくなかったりするのは、どういう理由からなんでしょう?

里崎 それはたぶん、自分が信じてやってる練習が丸っきり結果を生んでないのに、それを頑なにやり続けてるからだと思いますね。たとえば、県予選で負けたりしたあとのロッカー室とかで、今日で引退っていう野球部員たちに、監督が「今までやってきたことはムダじゃない。必ず次のステージでも活きてくる」とかって言ってるシーン、スポ根モノのドラマとかでもよくあるでしょ? 僕はあれを〝アマチュア気質〟って呼んでるんですけど、そもそも結果も残せてないのに、次に活かせるものなんてあると思います?

──ひたむきに取り組む姿勢、とかですかね?

里崎 そりゃ、もちろん、部活を一生懸命やったっていう経験そのものは、社会に出てからでも十分役に立つでしょうから、今日で野球を辞めるって人にとっては、監督の言葉は絶対的に正しいですよ? でも、その先も野球を続けるって人に向かって言葉をかけるなら、それじゃダメだと僕は思う。だって、実際に勝つっていう経験をしないことには、勝ち方はわからないし、そこへと向こう方法論、準備の仕方もわからない。負けに〝収穫〟があるとすれば、「今までやってきたことは間違ってた。同じやり方ではダメ」ってことだけですから。どんなに頑張っても結果につながらんのであれば、これまでのものをいったん捨てて、ガラッと変えてみるしかない。それに代わる方法論が見つかってもいないのに、人に聞くこともしないから、堂々巡りになるんであってね。

己に壁を作る「こんなハズじゃないのに」の罠!

──俗に言う〝2年目のジンクス〟なんかも、それと似たようなものですか?

里崎 そうですね。仮に、いい成績を残すピッチャーがいたとしたら、その時点でのパワーバランスはピッチャーのほうが上。でも、次の年にはバッターがそいつを研究して対策を練ってきますから、逆転されるのは時間の問題でもあるわけです。つまり、1年活躍したのに次の年からまたサッパリって選手がいたり、新人王は獲ったけど、そのあとが伸びないっていう選手がよくいるのは、そこで覆す力がなかったってこと。しかも、なまじ新人王なんていう賞をもらってしまうと、「俺の力でもプロでやっていける」っていう安心感が生まれて、どうしても歩みがスローになってしまう。打つほうからしたら、なおさら抜くのは簡単なんですね。

──今季、新人王を獲った石川歩選手には、そこをぜひ乗り越えてほしいですが。

里崎 これは誰に対しても言えることですけど、もし壁にブチ当たっても「こんなハズじゃないのに」とは、絶対思わないことですね。そう思ってしまった瞬間に、壁はさらに高くなって、それが余計に自分を追い込むことにもなっていく。だから、まずは「自分はこんなもんや」と認めること。それができて初めて、欠点ともしっかり向き合えるようになって、直すべきところを見つめなおすこともできると思うんで。

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