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由伸巨人1年目の誤算と収穫。タイトルホルダー4人輩出も、戦力全体の底上げは急務【死亡遊戯コラム】

高橋由伸新監督の1年目、レギュラーシーズンは広島に大差をつけられて2位で終わった。しかし主力級は結果を残しており、控えを含めた戦力全体の底上げが必要だ。

2016/10/02

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左のリリーフの補強を

そして投手陣に目を向けると、エース菅野智之は援護に恵まれず苦しみながらも、防御率2.01、189奪三振で二冠獲得。
3年目の田口麗斗は7月の月間MVPを獲得するなど、チーム唯一の2ケタ勝利到達と飛躍。
ブルペン陣もマシソンが49HP、澤村拓一は37セーブでともにタイトルに輝いた。
しかし、投手陣も主力がそれぞれの役割を果たしたにもかかわらず、野手陣と同じく層の薄さを露呈。
特に昨季3人で30勝を挙げたマイコラス、ポレダ、高木勇人は故障や極度の不振に苦しみ、今季はこの3人でわずか10勝。
代わりに近年不振だった内海哲也や大竹寛のベテラン勢が意地を見せたものの、田口以外の若手の台頭はリリーフで64試合に投げた田原誠次くらいで、それが結果的に主力投手への負担増へと繋がってしまった。
菅野は自己最多の183回3分の1を投げ、マシソンは自身初の70試合登板、救援失敗も目立った澤村だが63試合登板とフル回転。来季以降への影響が心配だ。
特にブルペンの左腕不足は深刻で、開幕前の賭博事件関与で高木京介がチームを去り、期待された2年目の戸根千明は1軍と2軍を行き来し、数年前は球界の最強のセットアッパーとして君臨していた山口鉄也も勤続疲労は隠せず、63試合、1勝6敗、防御率4.88と精彩を欠いた。
3週間後に迫ったドラフト会議では即戦力左腕を指名したいところだ。

こうして見ると、投打ともに主力陣はほぼ計算通り働いたものの、全体的な戦力の底上げが必要だと痛感するシーズンだったと言えるだろう。
そして、基本的に原監督時代の延長のような形で由伸1年目は戦ったような印象があるが、30代の選手が多く、長年固定された同じ顔触れでオーダーを組んでいるため、一種の「閉塞感」のようなものを感じたのも事実だ。
どんな組織も血の入れ替えがないとやがて腐る。
ポストシーズンでは、そんな停滞した空気を打ち破る選手の出現を期待したい。

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