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若手投手陣は台頭。必要不可欠なルナに続く助っ人とベテランを脅かす若手野手の出現【ファンがつける、中日ドラゴンズ2014通信簿】

各球団のファンを代表して、担当ライターに今シーズンの通信簿をつけてもらう企画も残りわずか。第7回は、中日ドラゴンズだ。

2014/12/25

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顕著だった勝負弱さ、ルナ以外の助っ人も際立った実績を残せず

【ベンチワーク2点】
 谷繁元信兼任監督を中心にした新体制は、おおむねよくやっていたと思うが、新体制発表直後の期待感を上回ることができなかったというのが正直な感想だ。

 印象に残るのが1点差ゲームの弱さである。2014年は36試合17勝19敗、勝率.472のリーグ最下位。
 貧打ながら接戦をものにして連覇を果たした2010年、2011年の〝勝負強いドラゴンズ〟というイメージは過去のものになったと言えるだろう。実は、救援陣の防御率はリーグでもトップクラスであり、又吉、福谷らが打ち込まれて逆転負けを喫したケースはほとんどない。そのあたりも含めて、チーム全体の勝負弱さが印象に残ったシーズンだった。

 もう一つ、今年のドラゴンズの低迷を決定づけた要因として、外国人戦略の失敗がある。阪神タイガース、広島東洋カープの躍進は、外国人選手の活躍があればこそ。ルナこそ及第点の成績を上げることができたが、その他の選手は到底満 足な成績とは言えない。
 86試合に出場したエルナンデスはショートの穴を埋めたが、逆に言えば「穴を埋めた」程度だった。大砲候補として獲得されたゴメスはからきしダメ。先発、救援ともコマ不足に苦しんだ投手陣においても、カブレラとパヤノがまったく機能しなかった。

 問題は、シーズン途中で外国人選手を補強できない現時点の体制にある。昨年末に国際部が廃止され、海外にルートを持つ森繁和ヘッドコーチ、デニー友利投手コーチが国際渉外担当を兼任することになった。しかし、森、友利両コーチが戦列から離れることができない以上、シーズン途中で新たに外国人選手を補強することはできない。

 昨年はブラッドリーの不調が長引けば、シーズン途中でマドリガルを獲得した。他球団に目を向ければ、今季広島東洋カープはシーズン途中でヒースを獲得、先発として3勝をあげている。ほかにも、西武のメヒア、ロッテのデスパイネなど、シーズン途中に入団で好成績をあげた選手は少なくない。

 厳密にはベンチワークとは言えないが、この問題を落合博満GM以下フロントはどう捉えているのだろうか。来年に向けて、すでに新たな外国人選手の獲得が発表されているが、現時点では昨年と変わりのない様子である。

グッズ、イベント……ファンサービスの拡充を

【総合2点】
 昨年末、国際部とともに廃止されたのがファンサービス部だ。落合GMは就任直後、「ファンサービスは専門家に来てもらってやってもらうのがいい」と発言したが、今シーズン、めざましくファンサービスが向上したかというと、けっしてそうとは言えないのが現状である。

 あくまでもファンからの目線だとおことわりした上での物言いだが、ドラゴンズ球団は「殿様商売」から脱しきれていないように見える。親会社の中日新聞社は、地元の愛知県では誰もが仰ぎ見る老舗の名門企業だが、それが災いしてか、ファン目線のサービスができていない。ナゴヤドームでの試合以外のイベント、食事を含めたサービス、SNSなどを使った情報発信、メディア対策などについて、新たに検証と改革が必要なのではないだろうか。

 グッズに関してもフットワークは遅い。又吉、福谷ら今シーズン活躍した選手のレプリカユニフォームや背番号入りTシャツが発売されなかったのは理解に苦しむ。

 オリジナルグッズに関しても、正直なところ、デザインが洗練されているとは言いがたく、欲しいグッズが限りなく少ない。次々とアイデア商品を送り出すカープとは雲泥の差だ。英智コーチという才能を抱えているのだから、シーズンオフにどんどん商品開発を進めればいいと思うのだが、そうはいかない事情があるのだろうか? 

「勝つことが最大のファンサービス」とは落合GMの監督時代の名言である。この言葉にまったく異論はない。しかし、「最大のファンサービス」だけでいいのかといえば、そんなはずはないだろう。中なり小なりのきめ細かなファンサービスが必要になる。

 魅力あるチームになるには、まず試合に勝つこと。そしてファンに向けたサムシングを発信し続けること。この両輪が必要になる。なんならファンからアイデアとそれを実行する企業や人を募ってはどうだろうか。

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