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逆転新人王なるか。オリックス、“和製大砲”吉田正尚に託した球団の想い【どら増田のオリ熱コラム#84】

オリックスのドラフト1位ルーキー、吉田正尚が8月12日に約3カ月半振りに1軍復帰してから、29試合でホームラン9本と驚異的な記録を残している。打率も15日現在、.301と好調をキープしており、このペースが最終戦まで続けば、一発逆転の新人王獲得の可能性も十分考えられる。

2016/09/17

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どら増田



逆転新人王へ向かって

 しかし、入団してから、順風満帆とはいかなかった。
 
 球団関係者の話によると「張り切り屋さん」な吉田は、新人合同自主トレで左ふくらはぎを痛める。2軍スタートとなった春季キャンプでも、1軍昇格と同時に右脇腹の違和感を訴えて離脱したのである。

 吉田が1軍に本格合流したのは、オープン戦終盤の3月19日の阪神3連戦(京セラドーム大阪)からのことだ。
 
 吉田はスタメンで起用されると、20日の試合では藤川球児からライト5階席に特大ホームランを放つ大活躍。わずか3試合で開幕1軍の切符を手に入れたのである。そして同25日の西武プリンスドームで行われた西武との開幕戦では、1番指名打者で開幕スタメン出場。デビューは上々だった。
 
 しかし、開幕してしばらくたった4月24日、今度は腰椎椎間板症で戦線離脱。1軍でホームランを打つことなく、長いリハビリを余儀なくされた。
 
 吉田が1軍に戻ってきたのは8月13日のことだった。奇しくもその舞台は開幕戦と同じ西武プリンスドームだったのだが、吉田が、感慨深い想いを口にしている。
 
「やっと帰ってこられました。体調はボチボチですが大丈夫です。最後までここ(1軍)にいたいですね。また西武ドームからスタートします!」
 
 8月18日の日本ハム戦でプロ初本塁打を放つと吉田のバットは勢いに乗った。同26日は3番に抜擢。8月27日の楽天戦では2本塁打をマークしている。「あれだけ振れるのは大きい。クリーンアップタイプ」と吉田を初めて見た時から評価していた福良淳一監督は思い切った起用を続けている
 
 9月8、9日のソフトバンク戦、11日のロッテ戦と、本拠地京セラドームの試合では、2本のホームランと試合を決めるタイムリーを放ち、3試合連続でお立ち台に上がった。「真っ直ぐをしっかり打ち返せているし、合わせられている。バットもよく振れています」と語った吉田は、15日現在、打率.301、本塁打9と長期離脱がありながらも新人としては十分な成績を収めている。
 
 ここで気になるのが、楽天の茂木栄五郎と日本ハム高梨裕稔の二人が繰り広げているパ・リーグ新人王争いである。
 
 出場試合数を考えれば、圧倒的に不利ではあるが、このままの勢いを持続して、2ケタ本塁打をマークしたら、吉田の名前を無視できなくなるのではないだろうか。
 
 球団期待の“和製大砲”がエンジン全開で逆転新人王を目指す。

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