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12球団最多の9度のサヨナラ勝ち 諦めないキヨシ野球が浸透した1年【ファンがつける、横浜DeNAベイスターズ2014通信簿】

オリックス、巨人と掲載してきた、各球団のファンによる2014年の通信簿。第3回目は横浜DeNAベイスターズだ。なお各項目5点満点である。

2014/12/17

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最後まで諦めない、中畑野球は確実に浸透

【ベンチワーク 3点】

 中畑監督にとっては非常に難しい采配を迫られたシーズンだった。

 グリエルの加入によって外国人選手が飽和状態になった内野の煽りを受け、石川を外野にコンバートさせるなど、外国人と守備の兼ね合いが、打線に響いてしまった印象だ。

 とくに1番は石川、荒波、梶谷と好不調の波がある中なかなか固定できず、チームとしての得点パターンが形成できなかった印象である。ただ、よく意図のわからない采配をする中畑監督ではあるが、この3シーズン選手たちに言いつづけてきた『あきらめない野球』はチームに確実に浸透した。

 開幕して間もない4月26日の地点で、今シーズン最大となる借金13、クライマックスシリーズ圏内まで9.5ゲーム差となったが、例年であれば意気消沈してしまうところ中畑監督は選手たちを鼓舞しつづけ、5月以降は勝率を五割以上キープし、クライマックスシリーズ圏内まであと一歩まで迫ったのは評価に値する。

 またチーム一丸となって戦う姿勢が見られない者に対しては、中村紀や多村といったベテランにでさえ容赦なく二軍降格を命ずる厳しさも見せた。
 確実にあきらめず戦う集団になりつつある。

 その証拠に今シーズンは9度のサヨナラ勝ちを記録しており、これは12球団最多である。

 ただ山口の復活は先発に抜擢したベンチの慧眼と見る向きもあるが、結局のところベンチ云々というよりも行き場を失った山口の頑張りという部分が大きかったように思う。そういう意味では、山口もまた『あきらめない野球』の具現者ということなのだろう。

昨年と中身が違う5位。新しいファンも確実に増えてきた

【総合3点】

 リーグ成績が昨年と変わらない5位という点だけを見れば、総合評価は2でもいいのだが、去年とは内容がまったく違った。

 数字の面ではもちろん、昨年までは分厚い雲がかかってまったく見えなかったクライマックスシリーズ圏に、あともう少しで届くというところまでこぎつけた。

 ファンにとっては交流戦以降これほど楽しかったシーズンは久しぶりだったのではないだろうか。
 消化試合がないままシーズン後半を迎えられることは、ファンにとってこれ以上にない喜びだ。

 本来は「優勝できず悔しい!」と嘆くのが正しいプロ野球ファンだと思うのだが、ベイスターズファンは痛みを知っている人の良さがあるのでこれぐらいのことで非常にうれしく思ってしまう。でも、それでもいいのだ。

 また経営側が推進する『ボールパーク構想』やファンイベントも引きつづき新機軸を打ち出し『I☆YOKOHAMA』の名のもと、チームと一体感を得られる機会が多かった。古くからのファンは球場に戻り、新しいファンも着実に増えている。DeNA体制になって3年、確実にチームは成長していると実感のできたシーズンだった。

 ただ気をつけなくてはいけないのは、ちょっと調子に乗ると気を抜いてしまう伝統のヨコハマ気質。来年は、選手たちはよりシビアにプレーをし、ファンはより厳しい目でチームをサポートすることを願いたい。

 最後に、グリエル残留決定的との報道。ありがとう!

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